研究課題/領域番号 |
23651103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
末元 徹 東京大学, 物性研究所, 教授 (50134052)
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研究分担者 |
長谷川 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (50360409)
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 助教 (60159077)
南 康夫 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60578368)
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キーワード | ナノ計測 / 軟X線レーザー / 顕微技術 / 時間分解 |
研究概要 |
軟X線は、波長が可視光より短かく、物質への侵入長が浅いので、高分解能顕微鏡への利用が期待されている。これまでに、自由電子レーザーによる透過光学系でのイメージング、レーザー励起軟X線レーザーを光源とした多層膜反射鏡上のパターンの垂直入射配置での観測などの例が報告されているが、表面形状の観測ができる汎用性のある顕微鏡は開発されていなかった。 本研究では、斜入射光学系を採用して、汎用性のある顕微鏡を開発することを目標とした。原子力研究開発機構に設置された波長13.9nm、パルス幅7psのレーザー(Agシングルターゲット)を用い、シングルショットでの画像取得を行った。対象はSi基板上のPt膜に収束イオンビーム(FIB)加工機またはナイフにより作成したパターンである。 レーザー光を直径25mm、焦点距離250mmのMoSi多層膜凹面鏡で集光して仮想光源とし、ケーラー照明条件で試料に斜入射角22.5度で入射させ、反射光を焦点距離10mm、有効径500μmのフレネルゾーンプレート(FZP)によってCCDカメラ上に集光した。FIB加工により作成した3μm間隔の溝構造を倍率104で鮮明に捉えることに成功した。視野の中央部で、縦方向200nm、横方向700nmの分解能を確認した。前者は回折限界による分解能理論値170nmに近く、顕微鏡として十分な性能である。 縦方向には100μmに及ぶ広範囲で、ほとんど解像度の劣化がないことが分かった。斜入射のため、視野の左右では多少分解能の低下が見られたが、試料上換算で80μmの範囲で、パターン形状の識別には全く問題ない分解能が得られることがわかった。このように、反射型の軟X線顕微鏡が実用に耐えうることを実証することができた。今回開発した軟X線顕微鏡は、光学顕微鏡に比べて格段に深い焦点深度があり、その点でも利用価値があると考えられる。
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