研究概要 |
Encapsulinは単一のシェルタンパク質で構成される内部が空洞のナノ構造体である。新規Encapsulinを獲得するためにRhodococcus erythropolis N771株由来Encapsulinを大腸菌内で発現させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察での構造観察と分子量の測定を行った。既知のEncapsulinのアミノ酸配列からプライマーを設計し、R. erythropolis N771株のゲノムを鋳型にしてPCRを行った。得られた遺伝子をpET-23bベクターに導入し、大腸菌で大量発現させた。精製したタンパク質をTEMで観察した結果、直径約20 nmの内腔を有する球状粒子が観察され、既知のEncapsulinの構造に類似していた。さらに、精製したタンパク質の分子量を測定したところ、FFF-MALSでは約1.8 MDa、沈殿速度法による超遠心分析では約2.1 MDaと両者で同程度の分子量が算出された。モノマーの分子量が30 kDaであることからN771株由来EncapsulinはT. maritima由来と同様、ホモ60量体を形成することが分かった。以上の結果から、得られたタンパク質は目的のEncapsulinであり、大腸菌内でホモ60量体のナノ構造体の発現に成功した。 大腸菌のエタノールアミン代謝マイクロコンパートメント(Eut-BMC)を構成するEut-S,-M,-N,-L,-Kの5つのシェルタンパク質を大腸菌で発現し、EutKに付加したHis-tagを用いてNiキレーティングアフィニティークロマトグラフィーで複合体を精製した。得られた複合体をTEMで観察したところ、1辺が100 nm程度のBMC様の構造体を確認できた。
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