研究課題
本研究では、ナノ微粒子の人工降雨ならびに人工氷晶核生成技術への積極利用を検討しつつ、同時に深刻化する環境問題に対する基礎的知見を得ることも視野に行われた。具体的には環境負荷の低い材料である酸化チタンの微粒子を用いて、これを大気中に分散する擬似的にエアロゾルが紫外線照射を受けた環境をつくり、微粒子が雲生成に寄与する高融点人工氷晶核粒子として有効か表面科学的に検討を行った。まず微粒子表面上に凝結する水蒸気成分を直接観測する手法として、いくつかの方法を検討・試作した。そのうち、基幹技術として非接触原子間力顕微鏡に使われる微小変化検出技術を応用した装置を用いることで、微粒子上の水蒸気凝結の検討を行った。具体的には、励振機構により振動する部品に取り付けた微粒子支持部分が冷却されることで、質量変化による振動数変化や振幅減衰等を計測する手法とした。自作した測定システムは、信号検出系、温度制御系および外部光制御系の入出力信号を連携制御した測定を行う事ができる。なお、熱の出入りを検出し制御するフィードバック回路を加えることで将来的にはカロリメトリーとしても動作できる。以上の装置を用いて、酸化チタンやヨウ化銀についての測定を行うことで、水凝結現象の測定が可能であることを確認した。そして酸化チタンは紫外光照射によりその表面が疎水性から親水性に変化することが知られているので、紫外線照射による影響の検討を行い、紫外線により水凝結量が変化しうることが示唆された。またこれらのデータを基礎に、温度測定、凝結現象検出感度の向上、紫外線照射法の改良を行った。特に検出系に、リアルタイム性を持たせるために、前述装置とは独立した検出系を導入し、より高感度な測定を行えるようにした。今後は紫外線を含めた広い意味での量子線の影響や微粒子の環境低負荷等の観点での研究指針で発展させたい。
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Proc. 9th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices ’13
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