光素子や触媒として有効に作用する金属銀をアスペクト比が大きな層状ナノシートとして作製する前段階として、層状酸化銀ナノシートを作製した。カルボニル基が両端に存在するドデカン二酸を作製時に混合することで、単純な溶液反応によって、ラメラ構造を有する層状酸化銀を作製することができた。これらの層状構造は、作製する溶液のpHに強く依存した。 これらの作製した層状酸化銀を水中およびアルコール中で超音波処理することにより、厚さがnmスケールで幅が数μmの酸化銀ナノシートを得ることができた。超音波処理を行う溶媒によって、剥離される層の厚さが異なり、水中では2層で、アルコール中ではモノレーヤーとして存在した。この酸化銀ナノシートの構造は、X線回折、原子間力顕微鏡および透過型電子顕微鏡の回折像で評価し、作製された酸化銀ナノシートは六方晶型の単結晶であることが分かった。この剥離溶媒による効果は、層間に存在している界面活性剤の親水性・親油性によってもたらされるものであると考えている。 また、酸化グラフェンの還元方法によって、表面に存在する酸素官能基の種類が大きく変化することをXPS(X線光電子分光法)で詳細に検討した。ヒドラジン還元や熱還元では、2重結合を有するC=Cが生成されるのに対して、光還元では、CHや欠陥サイトが増えることが分かった。また、その欠陥サイトが電気化学キャパシター特性に大きく影響することも分かった
|