研究課題
本研究では、レアメタルフリーの全固体型電気化学素子を実現することを狙いとして、近年応募者が成功した単層カーボンナノチューブ(SWCNT)カラー薄膜の色制御技術を発展させ、その基礎物性を解明するとともに、液体を用いない全固体型SWCNTエレクトロクロミック素子への展開を行うことを目標として研究を行った。イオン液体にトリブロックポリマーを混合させることによるゲル化を行うことにより、電解質を液体系から固体系へと変えた。その結果、イオンゲルを用いた場合においても可逆的な色変化が可能であることを明らかにした。その結果、全固体型SWCNTエレクトロクロミック素子の作製に成功した。また、紫外領域の光吸収の制御に向けて、―40度まで冷却して吸収測定を明らかにする系を自作し、低温において光電気化学測定を行うことで、電気化学反応を抑制しつつ吸収変化を明らかにすることを達成した。紫外領域にはブロードな吸収帯(U-band)が存在するが、低温における光電気化学測定により、(6,5)SWCNT薄膜のUV領域の吸収が、可逆的な膜電位依存性を示すことを明らかにした。このことは、π-π*遷移由来の寄与がU-bandに存在していることを示唆している。しかし、キャリア注入によるブロードニングは殆ど起こっていない為、Fano機構によるブロードな光吸収形成の寄与は小さいと考えられる。直径1.4nmの金属型や半導体型SWCNTにおいては吸収帯の変化と共に新しい吸収帯が出現することから、キャリア注入が光吸収構造に与える影響は、SWCNTのカイラリティによって大きく異なることが示唆されている。このように、全固体型のエレクトロクロミック素子の開発に成功すると共に、透明性改善への道筋を明らかにした。
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Carbon
巻: accepted
DOI:10.1016/j.carbon.2013.03.014
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