研究概要 |
1.電極の作製10 mm角のSiC基板上に1層グラフェンをエピタキシャル成長した。この基板を用いて、グラフェンのπ表面積が一定(0.5 mm2)で、エッジ長がそれぞれ2, 4, 10, 20, 50, 100 mm のグラフェン微細加工電極(エッジrich 電極)を作製することに成功した。同様の構造でπ 表面を完全にレジストで被覆しエッジのみが露出した電極を設計し、その作製法を確立した。さらに、一対の電極がかみ合った構造のくし形電極の設計・作製にも取り組み、こちらもほぼ作製法を確立した。2.電気化学計測測定用のデュアルタイプの電気化学アナライザを新規に導入した。作製した電極の電気化学特性を計測するための最適な方法の検討や試料配置のためのジグの作製を行った。作製したグラフェン微細加工電極のうち、上述のエッジrich 電極を用いて、一般的な酸化還元反応系(例えばFe(CN)6 3-/4-、Ru(NH3)6 3+/2+)に対する電気化学測定を開始した。サイクリックボルタモグラム(CV)の測定では、一部の電極で電極構造の低次元性に由来すると考えられる波形が得られた。ただし、実験数および実験の再現性には不十分な点が残っており、電極構造とCV波形との相関を明確に示すまでには至らなかった。再現性が不十分な点について、微細加工電極作製プロセスにおけるグラフェン表面の汚染が一因であることを懸念しており、この解決に向けた新規プロセスの検討を始めた。
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