研究課題/領域番号 |
23651128
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浅沼 浩之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20282577)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ストランドインベーダー / PNA / Threoninol / 色素 |
研究概要 |
本研究では、D-Threoninolに色素などの機能性分子を導入したヌクレオチド・アナログ=Threoninol-Nucleotide (TN)を導入したDNA(TN-DNA)と、通常のPNAを組み合わせた新たなストランドインベーダーの開発を目指す。本年度は当初の計画に基づき、まずはTN-DNA/DNA二重鎖を安定化するためのTNの設計指針を得ることを目的とした。TNの安定性評価のため、DNA二重鎖の中央にTNを1残基付加的に導入したTN-DNAを合成し、対応するnativeの相補鎖との二重鎖の安定性を評価した。様々な色素導入TNを試したところ、アントラキノンとペリレンがDNA二重鎖を大きく安定化することを見出した。また色素の選択だけでなく、D-threoninolへの導入法もDNA二重鎖の安定化に大きく寄与することも明らかにした。この結果を踏まえ、TN 1残基に対して天然のヌクレオチドを2残基の割合で導入したTN-DNAコンジュゲートを合成し、その二重鎖の安定性を調べたところ、期待通りアントラキノンとペリレンでは融解温度(Tm)が未修飾のDNA二重鎖と比較して15℃以上向上した。一方このTN-DNAコンジュゲートを相補的なPNAと組ませたところ、未修飾のDNA/PNA二重鎖のTmより低下した。すなわち、アントラキノンおよびペリレン導入TNは、ストランドインベーダーとしての条件である、二重鎖の安定性の序列(TN-DNA/DNA, PNA/DNA > DNA/DNA >TN-DNA/PNA)を満たしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、天然のDNAとの二重鎖形成を大幅に促進し、かつ未修飾のPNAとの二重鎖を抑制するTNの探索を目指した。アントラキノンとペリレンが上記の条件を満たすTNであることを見出し、当初の計画を達成することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
天然のDNAとの二重鎖形成を大幅に促進し、かつ未修飾のPNAとの二重鎖を抑制する色素導入TNを見出したので、平成24年度は当初の計画通り、60-70bp程度の合成DNA二重鎖を使用して、その内部あるいは末端に15 bpの二重鎖部位をターゲットとしたTN-DNAとPNAを設計する。その際、TN-DNAとPNAのターゲット二重鎖に対する濃度やバッファー条件(塩濃度など)、インベージョンの温度等を最適化し、モデル系での長鎖DNA二重鎖へのインベージョンの実現を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は1残基のTNを導入したDNAの合成が主であり、またインベーダーとしての条件を満たすTNを比較的容易に見出すことが出来たため、当初の計画より消耗品(試薬)の使用が大幅に少なくて済んだ。一方平成24年度はインベーダーの合成のため、多数のTNを導入したDNA(TN-DNAコンジュゲート)とPNAを多量に合成する必要がある。そこで平成23年度から繰り越した消耗品費と24年度の当初予算を併せてTNモノマーの大量合成に充てるとともに、研究を効率的に進展させるためTN-DNAコンジュゲートの合成を日本テクノサービスに外注する予定である。また得られた成果を学会で発表するため、国内旅費を計上する。
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