研究課題/領域番号 |
23651129
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
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研究分担者 |
新宮原 正三 関西大学, システム理工学部, 教授 (10231367)
葛谷 明紀 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (00456154)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | DNA / ナノワイヤ / 自己組織化 / ナノテクノロジー / ナノ配線 |
研究概要 |
本研究の目的はDNAを用いてナノワイヤを接合し,それをナノ配線として応用することである。本年度は,ナノワイヤとDNAを結合させ,配線を構築する予定であったが,ナノワイヤとDNAの結合が当初予定していた方法では不十分であることが判明したため,ナノワイヤのモデルとして金ナノ粒子を用いた配列化に関する検討を行うとともに,磁性ナノワイヤなどのスマートナノワイヤの調製について検討した。1,DNA結合金ナノ粒子による組織体形成(大矢,葛谷)これまでに金ナノ粒子(AuNP) 表面にアルカンチオール(11-mercaptoundecanoic acid (MUA)と4-mercaptophenylacetic acid (MPAA)の混合物)で自己組織化単分子膜(SAM)を形成させたのち,チオール末端を有するDNAを反応させることにより,AuNP二つの「極」部分にだけDNAが導入され,その相補性に基づく一次元AuNP連鎖が調整できることを確認している。本年度は,さらに直線性の高いAuNP連鎖を構築することを目的として,T-motifおよびDX(ダブルクロスオーバー)モチーフを使用して梯子状に二列のDNA二重鎖でAuNPを挟み込む形の組織体を設計し,実際に高い直線性を有する組織体の構築が確認された。また,四叉路形成するHolliday junction構造を利用した場合には,正方形格子状に金ナノ粒子が二次元配列化した構造を形成することにも成功した。2,磁性ナノワイヤの調製(新宮原)酸化アルミニウムナノホール構造を利用して,Au, Ta, Coなどの金属を成長させた後,ウェットプロセスにより酸化アルミニウムを除去して,高度に配列化した磁性ナノワイヤを作成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はニッケルなどの金属ナノワイヤの末端に金の薄層を結合したナノワイヤに直接,末端チオール化DNAを反応させて,DNAを導入する予定であったが,この方法では,ナノワイヤ末端に選択的に接合に十分なDNAを結合することが困難であることが判明したため,ナノワイヤの配列化には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
成果報告にも述べたように,金ナノ粒子をモデルとして特定の方向にだけDNAを導入する技術を開発し,金ナノ粒子の一次元配列化には成功しており,ニッケルなどの金属ナノワイヤの末端に金の薄層を結合したナノワイヤの調製方法もほぼ確立されているので,この遅れは取り戻すことが可能であると予想される。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度未使用額,前倒し支払額はともにゼロである。当初の予定通り,大矢が900,000円,新宮原が300,000円,葛谷が200,000円,3人合計で1,400,000円を直接経費として使用する。その内訳は,DNAやナノワイヤなどの試薬代・実験器具などの物品費が900,000円,成果報告・調査のための学会参加などの旅費・交通費が400,000円,実験補助の謝金などが100,000円の予定である。50万円を超える機器の購入予定は無い。
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