研究課題/領域番号 |
23651130
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
三好 大輔 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (50388758)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | DNA / 四重らせん構造 / 金属‐有機構造体 / ナノ構造体 / DNAナノテクノロジー / G-ワイヤー / ビピリジン / グラフェン |
研究概要 |
本研究では、DNA ナノ構造体に化学刺激応答能をもつ四重らせん構造を導入し、ナノ構造体の形成・解離を自在制御する。さらに、分子認識能をもつ四重らせん構造を鎹として、DNA ナノ構造体と金属-有機構造体を融合する。これにより、核酸(DNA)の自在設計性と金属錯体の機能性を併せもつ分子集合体「核酸―金属―有機構造体(Nucleic acid with Metal-Organic Framework:nMOF)」を構築する。 平成23年度では、ナノ構造体の自在制御パーツとして有用な非標準的なDNA高次構造を合理設計するための知見を得ることを試みた。本研究で主として用いることを想定している四重らせん構造に関しては、四重らせん構造に欠損塩基を化学的に導入することで、その熱力学的安定性を制御することが可能になった。また、Locked Nucleic Acidとよばれる化学修飾を施すことで、DNAの標準構造である逆平行型二重らせん構造を平行型二重らせん構造へとスイッチさせることもできた。さらに、低分子化合物に結合して、構造を劇的に変化させる核酸スイッチを構築できた。これらの自在制御パーツを用いることで、nMOFの形成と解離を合目的的に制御することが可能となった。制御パーツの開発に加えて、nMOFのように自己組織構造体内でのDNAの分子認識の検討も進めた。その結果、基板上に集積化したDNAと生体分子の相互作用能力を決定する因子に関する知見も得られた。これらの成果は、4報の国際誌に掲載された。また、フタロシアニンをはじめとする金属錯体と四重らせん構造の相互作用機構に関する詳細な知見も得られつつあり、国際会議などで報告した。このように、当初に計画した平成23年度の研究目標をおおむね達成し、平成24年における、nMOFの構築とその応用展開に必要な結果が得られたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度では、DNAナノ構造体の構築とその制御に必要な知見を得ることができ、論文発表と学会発表を積極的に行った。DNA四重らせん構造と金属錯体の相互作用機構に関する詳細な知見も得られつつあり、国際会議で発表した。また、相互作用機構に関して得られた知見は、現在論文投稿中である。このように、当初の計画に沿って研究を推進することができたことから、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、当初の計画通り、以下の二点について検討を進める。(1)四重らせん構造が連結したナノ構造の構築(2)DNAと金属錯体の非共有結合・共有結合による融合さらに、これらの当初の予定に加えて、グラフェン酸化物を用いることで、構築される核酸―金属―有機構造体(Nucleic acid with Metal-Organic Framework:nMOF)の機能化に関しても検討する予定である。グラフェン酸化物と生体分子を用いた機能性デバイスの開発も順調に進展しており、論文投稿への準備が整いつつある。このように、当初の計画に加えて、nMOFの機能実証を視野に入れた研究を推進できると期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究におけるDNAの合理設計とMOFとの接合には、多種・大量の核酸合成が必要である。また、MOFのフレームとして多様な有機化合物も用いる。そのため、これらの試薬の購入のために、消耗品費として研究費を使用する。加えて、本研究の最終年度である平成24年度には、積極的な情報発信を努めるため、国内外の会議に参加するとともに、論文投稿を行いたいと考えている。そのための、旅費、外国語論文の校閲費、研究成果投稿費として研究費を使用したいと考えている。
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