研究課題
集積回路の配線層の構造を利用したフォトニクスとエレクトロニクスを融合して新機能を作り出す試みである。配線層の金属と誘電体により光をフィルタリングし、アクティブ・ピクセル・センサ(APS)で電圧値に変換する。複数の異なるフィルタリング特性を持つAPS出力から演算処理により、入射光のスペクトラムを推定する方法を示した。APS単体のサイズは、20マイクロメートル角として1個または複数のピンホール型波長選択構造を実装した分光APSを、CMOS 180nmテクノロジを用いて試作した。フォトダイオードの分光感度特性と、分光光源のスペクトラムを補正した後の波長選択構造の透過率を測定した結果、FDTD法によるシミュレーションで予想されたように、遮断波長付近に急峻なカットオフ特性が観測され、シミュレーションによる設計が、正しいことが確認された。しかし、波長700nm近傍での光の透過と450nm近傍での光の反射特性については、シミュレーションでは予想できなかった。このため、実測に基づいた補正が必要であることが分かった。以上の実験結果から、標準的な半導体製造技術により、集積回路の配線層を用いた波長選択機能が実装できることが示された。しかし、配線層の透過率が小さいため、感度が低いことが課題であることも分かった。センサをより高感度化するため、波長選択制に加えて、透過率の高い配線層構造を探索する必要がある。本研究課題で提案したスペクトラムセンサを用いて、高速サーモビジョンによる温度制御や微小領域の発光/吸光分析等への応用が可能となった。
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情報処理学会論文誌
巻: Vol.53, No.3 ページ: 1017-1021
Active and Passive Electronic Components
巻: 2012 ページ: 1-11
10.1155/2012/181395
http://merl.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/