研究課題/領域番号 |
23651140
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
蝶野 成臣 高知工科大学, 工学部, 教授 (20155328)
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研究分担者 |
辻 知宏 高知工科大学, 工学部, 教授 (60309721)
楠川 量啓 高知工科大学, 工学部, 教授 (60195435)
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キーワード | マイクロナノデバイス / 液晶 / 圧電効果 / 力学センサ |
研究概要 |
液晶に連続的にせん断を印加するため,同心二重円筒からなるデバイスを設計製作した.両円筒はいずれもガラス製で,外筒の内径は6mm,内筒の外径は5mmで,両者の隙間は0.5mmである.外筒の内面と内筒の外面には垂直配向膜を成膜した.両円筒の間隙に液晶を充填し,外筒を静止,内筒を回転させることによって液晶にせん断を印加した.このときの液晶分子の挙動を偏光顕微鏡観察するとともに,内筒から外筒方向に向けて放射状に発した光の透過光強度を測定した.一方,外筒内面と内筒外面にITO電極をスパッタリング蒸着した上述と同サイズの二重円筒を改めて製作し,せん断印加時に発生する電位差をナノボルトメータで測定した.実験に使用した液晶は4-Cyano-4’-octylbiphenyl(8CB)である.物性値の影響を検討するため,実験は34℃,36℃で行った.この温度範囲では8CBはタンブリング状態を発現する. 外場がかかっていない場合,液晶分子は配向膜によって垂直配向している.そのため,クロスニコル下では暗視野となる.せん断が印加されると分子が回転運動を始め,偏光顕微鏡画像が変化するとともに,透過光強度も比較的高周波の変化を呈しており,明らかにタンブリング挙動の発現を確認することができた.電位差測定では,予想以上のノイズのために正確な定量化は困難であったが,二重円筒間が空気の場合との比較より明らかに分極値が発生していることを確認した. 得られた結果は日本機械学会年次大会(金沢),日本レオロジー討論会(名古屋),日本機械学会中四国支部研究発表会(高知),16th International Congress on Rheology(ポルトガル)で発表した.また昨年度末に投稿した論文が掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究計画・方法」通りに進んでいる。すなわち、平成24年度の計画は二重円筒型デバイスの設計製作と電位差測定、および透過光強度測定による液晶分子挙動の解明であったが、前述したように、ほぼ計画通りに遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は本研究期間の最終年度であり、パラメータを広範に変化させながらH24年度の実験を継続する。また、機械学会、液晶学会、流体力学会等での成果発表と、論文執筆を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品である液晶、ガラス器具、配向膜等の購入と、成果発表に要する旅費と学会参加費、ならびに論文と成果報告書の作成費用に充当する。
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