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2011 年度 実施状況報告書

原子層厚スペーサーを用いたフルメタルCPPスピンバルブの作製と磁気抵抗効果

研究課題

研究課題/領域番号 23651144
研究機関東北大学

研究代表者

角田 匡清  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80250702)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード磁性 / 磁気抵抗効果 / スピントロニクス / 交換磁気異方性 / スピンバルブ
研究概要

原子層程度の極薄膜厚内で急峻な磁気モーメントの方向変化が生じる積層膜材料系を見出すべく、RKKY振動を示す貴金属スペーサー材料と3d遷移強磁性金属材料との組み合わせで材料探索を行った。超高真空スパッタリング法を用いて、主にCo基強磁性材料を用いて貴金属スペーサー材料(Au, Ag, Pt, Ru, Cu)の膜厚を変化させたスピンバルブ型積層膜を作製し、2枚の強磁性層磁化の反平行配列の成否について検討した。その結果、1~2原子層の厚み範囲で反平行配列が実現できるスペーサー材料はRuだけであることが明らかとなった。 Ruスペーサー中における伝導電子のスピン情報の損の程度を調べる為に、2 nm程度の厚みのRuをスペーサーとしたCo-Ir/Ru/Co-Ruの積層構造を有する垂直電流通電型磁気抵抗薄膜素子を作製し、その伝導特性について調査した。その結果、磁気抵抗変化率は0.2%と、同程度の膜厚のCuをスペーサーに用いた場合に比較して極めて小さく、Ruスペーサー中での伝導電子のスピンフロップ散乱が顕著であることが判った。 極薄スペーサー層のRKKY相互作用による大きな反強磁性結合に抗して、2枚の強磁性層の磁化回転を伴わない安定反平行配列を低磁界域で実現する為には、片方の強磁性層に大きな交換磁気異方性を付与する必要がある。反強磁性層にMn-Irを用いた場合の交換磁気異方性は積層界面に誘導される非補償Mnスピンの大きさと相関することから、非補償Mnスピンの強磁性層材料依存性について放射光XMCDの手法で系統的な調査を行い、第一原理計算により求めた積層界面の電子構造との比較検討を行った。その結果、強磁性層の組成ならびに結晶構造によって積層界面における交換相互作用の符号ならびに大きさが変化する結果として非補償Mnスピンの大きさが変化することを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した研究計画が順調に実施され、所期の成果が得られている。

今後の研究の推進方策

平成23年度までに得られた研究成果を基に、極薄Ruスペーサー層を有する垂直通電型磁気抵抗薄膜素子の開発を行う。超高密度ハードディスク装置用再生ヘッド応用などの用途を想定した場合、素子サイズはサブミクロンオーダーとなる。このような極小デバイスで、強磁性層の磁化方向を膜面内方向とした場合には2枚の強磁性層の素子端部における静磁気的結合が大きくなることから、磁化方向を膜面垂直方向とする強磁性材料ならびに交換磁気異方性材料についても検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

薄膜材料開発に関しては、平成23年度と同様に、現有設備の超高真空スパッタリング装置を活用して成膜実験を行い、同じく現有設備の薄膜構造評価用X線回折装置を用いて構造解析を行う。また、磁気抵抗素子の微細加工に関しては、現有設備のFIB/SEM微細加工装置ならびにイオンミリング装置を活用するため、設備導入に関しての研究経費充当は必要ない。 このため、研究経費の殆んどは、実験に使う消耗品ならびに、研究状況調査、成果発表等のための旅費に費やす。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Coupling strength with off-axial external field in magnetic tunnel junction cells2012

    • 著者名/発表者名
      C. T. Chao, C. Y. Kuo, C. C. Chen, L.Horng, Y. J. Chang, T. Wu, S. Isogami, M. Tsunoda, M. Takahashi, and J. C. Wu
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physics

      巻: 109巻 ページ: 07B911-1-3

    • DOI

      DOI:10.1063/1.3560047

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Uncompensated antiferromagnetic moments in Mn-Ir/FM (FM=Ni-Co, Co-Fe, Fe-Ni) bilayers: Compositional dependence and its origin2011

    • 著者名/発表者名
      H. Takahshi, Y. Kota, M. Tsunoda, T.Nakamura, K. Kodama, A. Sakuma, M. Takahashi
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physics

      巻: 110巻 ページ: 123920-1-9

    • DOI

      DOI:10.1063/1.3672450

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Soft X-ray Magnetic Circular Dichroism of a CoFe/MnIr Exchange Bias Film under Pulsed High Magnetic Field2011

    • 著者名/発表者名
      T. Nakamura, Y. Narumi, T. Hirono, M.Hayashi, K. Kodama, M. Tsunoda, S. Isogami, H. Takahashi, T. Kinoshita, K. Kindo, and H. Nojiri
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 4巻 ページ: 066602-1-3

    • DOI

      DOI:10.1143/APEX.4.066602

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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