今年度は、磁区構造制御に必要な、純スピン流の生成法、及びその巨大化について検討した。強磁性/非磁性のオーミック接合は、トンネル接合に比べて格段に大きな許容電流密度を持つが、スピン流の生成効率が小さくなるため、大きなスピン流を生成するためには、何らかの改善が必要である。ここでは、横型スピンデバイス構造の柔軟性を利用した『スピン生成源の多端子化』と純スピン流の特徴である『スピン流の合成技術』を実現し、生成スピン流の限界を打破、及び巨大スピン流の創出を行う。今年度は、純スピン流の制御技術として、スピン生成源の多端子化による純スピン流の巨大化、及び生成スピン流と吸収磁性体の相対角度を制御し、スピン吸収の角度依存性を調べた。その結果、生成スピン端子を4つまで増大させる新構造を提案し、生成スピン流の上限が、約4倍、大きくなることを実証した。
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