研究課題/領域番号 |
23651152
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コンパクトシティ / 交通システム / 通過交通 / デマンド型交通 / 歩行者空間 |
研究概要 |
本研究では,リスク低減性・効率性および環境調和性を兼ね備えた交通システムの集約型都市構造設計へのインテグレーションについて,数理的アプローチによるモデリング技法の開発を行い,環境に調和した都市形成に資する未来の都市交通体系のあり方の方向性を探ることを目的として3つのサブモデルを開発する.まず第一に,交通事故リスクを低減し,住環境を向上するための通過交通排除型道路網パターンを解明する.第二に,環境調和性と効率性を両立するデマンド型公共交通(Demand Responsive Transport; DRT)の具体的な運行方式について,市街地の密度に着目しながらモデル分析を行う.第三に,集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の空間的配分を決定するためのモデル分析を行う.これらのサブモデルを総合化して,将来の集約型市街地が備え持つべき内部空間構造と整合した交通体系の具体像を明らかにする.初年度は3つのサブテーマに関する評価基準の整理とシステム構築を行った.(1)交通事故リスク低減・住環境向上のための通過交通排除型道路網パターンについては,(1a)仮想的道路ネットワークモデルを用いて,通過交通量と平均移動距離を求め,それを用いて(1b)典型的な街路網パターンを対象として通過交通の排除効果を定量化することにより,アクセシビリティと通過交通排除のトレードオフを考慮した効果的な街路パターンを明確化した.(2)環境調和性と効率性を両立するデマンド型公共交通(DRT)については,(2a)鉄道やバスなどの固定路線型,自家用車や自転車などの自由移動型に対して,デマンド型の交通手段が持つ移動時間上の特性を明らかにし,(2b)デマンド型交通が有利となる需要密度などの条件を解明した.(3)集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の配分については,実施が遅れており,次年度以降実施していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災に伴う新たな研究課題の実施の影響を受けて,3つのサブテーマのうち,第三のサブテーマの実施ができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究計画も含めて,次年度までの研究計画を遂行し,当初の予定通りの研究成果を挙げることを目標とする.具体的には,遅れている(3)集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の配分にも着手し,所定の研究成果を挙げる計画である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は大震災などの影響により,十分な時間を取ることができなかった.研究計画は第三のサブテーマを除いては順調に進んでいるが,震災関連の打合せや報告に時間を取られることが多く,論文としての取り纏めや外部発表の機会を十分に確保することができなかった.次年度は,昨年度の未執行分も含めて,本年度は当初の計画通りの執行を計画している.特に,今年度の未執行分については,成果発表のための旅費や第三のサブテーマの研究遂行のための消耗品や人件費に充てる予定である.
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