研究課題/領域番号 |
23651152
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
|
キーワード | コンパクトシティ / 交通システム / 通過交通 / デマンド型交通 / 歩行者空間 |
研究概要 |
本研究では,リスク低減性・効率性および環境調和性を兼ね備えた交通システムの集約型都市構造設計へのインテグレーションについて,数理的アプローチによるモデリング技法の開発を行い,環境に調和した都市形成に資する未来の都市交通体系のあり方の方向性を探ることを目的として3つのサブモデルを開発する.第一に,交通事故リスクを低減し,住環境を向上するための通過交通排除型道路網パターンを解明する.第二に,環境調和性と効率性を両立するデマンド型公共交通(Demand Responsive Transport; DRT)の具体的な運行方式について,市街地の密度に着目しながらモデル分析を行う.第三に,集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の空間的配分を決定するためのモデル分析を行う. 24年度は3つのサブテーマに関する分析対象の選定と評価の実施を行った.(1)交通事故リスク低減・住環境向上のための通過交通排除型道路網パターンについては,(1c)道路上の平均速度などの交通条件の違いに着目しながら,アクセシビリティや通過交通排除の優先度合に対応した最適な街路パターンを求めた.(1d)実際のニュータウンなどにおける街路網パターンの定量的評価については継続して検討中である.(2)環境調和性と効率性を両立するデマンド型公共交通(DRT)については,(2c)全国のDRT運行地域に共通する条件の整理と,現実のデマンド型交通システムの運行特性の分析を行うとともに,(2d)人口密度分布に応じた適正な交通システムの選択モデルを構築した.(3)集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の配分については,(3a)歩道ネットワークデータベースを基にした歩道・歩行者通路(地上・地下)・横断歩道・歩道橋等の歩行者空間の面積算定を行い,(3b)GISを用いて主要鉄道駅等周辺部距離帯別の歩行者空間量の分布特性把握を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災に伴う新たな研究課題の実施の影響を受けて,3つのサブテーマのうち,(1)交通事故リスク低減・住環境向上のための通過交通排除型道路網パターンの解明について,実施がやや遅れ気味である.また,(3)集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の配分のモデル分析についても実施が遅れており,最終年度に集中して実施していく予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの2カ年度の研究計画も含めて,最終年度までの研究計画を遂行し,当初の予定通りの研究成果を挙げることを目標とする.具体的には,遅れている,(1)交通事故リスク低減・住環境向上のための通過交通排除型道路網パターンの解明,および,(3)集約型都市における効果的で安全な歩行者空間量の配分のモデル分析についても,所定の研究成果を挙げる計画である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画は第二のサブテーマを除いては順調に進んでいるが,震災関連の打合せや報告に時間を取られた影響が尾を引き,論文としての取り纏めや外部発表の機会は必ずしも十分に確保することができなかった.最終年度は,今年度までの未執行分も含めて,当初の計画通りの執行を計画している.特に,成果発表のための旅費や第一・第三のサブテーマの研究遂行のための消耗品や人件費に充てる予定である.
|