研究課題
車線逸脱防止のための車両安全制御を例に取り上げて,車両挙動の情報のみに基づいてドライバーが状況認識不全状態にあるか否かの判定と車両の安全制御という2つの目的をひとつの制御で達成する双対制御論的なアクティブ・セイフティ技術のプロトタイプを構築し,有効性を確認した。ここで開発した双対制御論的システムでは,数秒後に車線を逸脱することが予測されたとき,車両がかろうじて車線内に留まることができる程度の操舵制御を「第1段目の安全制御」とし,ドライバーが状況把握と制御実行に利用できる時間を創出する。その際,ドライバーが自らの操舵で車両を車線中央に戻すことができれば,システムは「ドライバーの状況認識は良好」であると判定する。一方,一定時間内にドライバーの反応が見られないときは,システムは,「第2段目の安全制御」として車両を車線中央に戻す操舵制御を行うとともに,「ドライバーの状況認識は不全」と判定する。本年度は,双対制御論的システムの設計ガイドラインを策定するためのデータを得るべく,第1段目の安全制御として4種類のカテゴリの操舵制御入力を設定し,ドライビングシミュレータを用いて各操舵制御入力の認知工学的特性を明らかにした。また,センサの誤作動による不必要な安全制御が第1段目および第2段目で作動した場合,ドライバーがそれらを正しく検知でき,不要制御入力を大きな負担なしにオーバーライドできるか否かを検証・評価した。さらに,それらの知見を取りまとめ,車両モデルの厳密化ならびに操舵制御の実時間計算を可能にするための技法を開発した。
すべて 2012 その他
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Cognition, Technology & Work
巻: Vol. 14 ページ: 29-37
10.1007/s10111-011-0193-4