研究課題/領域番号 |
23651169
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中島 功 東海大学, 医学部, 教授 (00183509)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バイオテレメトリー / 気嚢の振動 / 気嚢の組織写真 / 羽ばたきシミュレーション / データ―ロガー / ウズラの心電図 / ニワトリの血液酸素飽和度 / ウズラの全身麻酔 |
研究概要 |
野生カモの7%はH5N1に感染しており、鳥類の高病原性インフルエンザウイルス感染を疑うための将来、生体内埋め込み式センサ開発を行う前段の基礎研究として、鳥類の心電図、羽ばたき加速度などのデジタル信号採取と処理を行なう。得られた生データ(羽ばたき数・体温・拍数・心電図など)は、高病原性感染を疑う重要な素材となる。得られた成果は、A-Cである。 A:アナログ回路の設計・開発(鳥搭載型20g):A/Dコンバーター+CPUでデジタル化したデータを約2時間45分持続記録し、秒1000の標本化、量子化12bitの精度で心電図、および3軸加速度(羽ばたき)を記録する装置を開発し、実験に使用した。B::シミュレータによる振幅・加速度の計測:鳥に実装した加速度計から得られる羽ばたきエネルギー、この振幅エネルギーから磁場電位変換して得られる電位をシムレーションする機械的な装置を開発し、これを実験した。この基礎データは、将来、鳥の羽ばたきを電位に変換し、持続的な皮下の電源への可能性を伺うもので、マイクロカプセルの重要な基礎データとなる。C. 解剖による計測: ニワトリ、ウズラに全身麻酔を施し、外科的な手術を行い、動脈圧持続モニタ、血液中酸素飽和度、心音を採取し、肉眼的に計測に最適な心電図の電極位置を求めた。また気嚢、肺などの組織標本を採取した。鳥類は左大動脈ではなく、右大動脈であり、ヒトの第一誘導心電図の電極の位置(プラスが左、マイナスが右)では、鳥類の場合、P波、R波が陰性となり、右に心臓がローテーションしていることを裏付けた。また気嚢には上皮細胞が無く、吸気・呼気に伴って体表で加速度計で振動が観察されるので、呼吸(気嚢)ではチェックバルブ的な現象が常に発生しているものと思われる。これらは鳥感染を追跡するには極めて重要で新しい発見であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニワトリ、ウズラの全身麻酔法を確立し、外科的な手法で心臓、肺、気嚢などを確認し、心電図電極を皮下に埋め込み、全身麻酔から覚醒させ、自立させて心電図を記録している。 小型データロガー20g(標本化秒1000の心電図、羽ばたきによる三軸加速度)を長時間記録することに成功した。 気嚢の構造と顕微鏡的組織写真を得た。 羽ばたきシミュレーター(機械的)の試作に成功した。地方自治体からカラスの捕獲許可を得ているが、これはまだ確保していない。
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今後の研究の推進方策 |
カラス、キジをつかて飛翔中の心電図、加速度をデータ―ロガーで、気嚢内圧、血液酸素飽和度を無線テレメトリーで確保し、鳥の生体情報の分析、さらに皮下に埋め込む電磁誘導発電素子の基礎データを記録・分析したい。国際学会に研究成果を発表。
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次年度の研究費の使用計画 |
無線テレメトリー装置の開発費、ニワトリ、キジ、コジュケイの購入費。 動物舎の諸経費。学会参加費と交通費、研究助手の謝金。
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