本研究では、吹き抜け空間を展延・伝播する火災性状を明らかにすることを目的とした。 具体的には、火源に一辺100mm(=D)の正方LPGバーナーを使用し、2500×2500mmの床面中心に設置した。高さ1800mm、幅1200mmの二壁面を床面に配置し、発熱速度は、7.5~30kWとした。壁は、火源の小口溝と壁端を接点とし、壁角度90°(ハ字型)および0°(ニ字型)に設置した。壁と火源の離隔距離(S)とし、壁角度90°の時はS=0~500mmとし、0°の時はS=0~300mmに変化させた。火炎高さは、定常状態の火炎ビデオ撮影し画像から測定した。K型熱電対を用いて、壁面間の温度測定(110カ所)から当温度線図を作成し、火炎高さを測定した。 壁角度0°の場合、S=50mmまでの範囲では、壁が火炎への空気の流入を阻害するため、壁に沿って火炎が鉛直情報に延びる傾向が見られた。S=50mm以降は、壁の影響が少なくなり、火炎が壁に向かって倒れる状況は見られなかった。S=50mm以上では、壁の影響は見られなかった。壁角度90°の場合、S=50mmまでは、壁角度0°と同様に、壁を這うように火炎が鉛直上方へ延びる傾向が見られた。壁角度90°の場合、S=400mmでも火炎は壁の影響を受けるため壁方向へ倒れた。 各発熱速度における、無次元離隔距離S/Dと無次元火炎高さLf/Dの関係は、壁角度0°の場合、S/D=0~0.5の範囲でLf/Dが急激に下がり、S/D=0.5~3では壁無しの場合と同程度となった。このことよりS/D=0~05の範囲に壁の影響がなくなる点(変曲点)があると考えられる。一方、壁角度90°の場合S/D=0~0.5の範囲において、火源と壁の距離が広くなるので、空気の流入量が増加するが、空気は壁の影響を受け直接火炎に衝突するため、火炎幅が拡がり火炎高さが低くなったと考えられる。
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