本年度では計画通り研究を行った。具体的な研究内容及び研究成果は下記のようである。 1.実験システムの改良(小型化,計測範囲の拡大)。昨年度近赤外パターン光投影に基づく顔の三次元画像計測システムを構築したが,赤外投光装置には体積が大きいに加え,計測範囲が狭く,投影距離が短いなどの問題が残っている。今年度では,まず計測装置の小型を目指し,機械装置の改良を行った。また,計測範囲と計測距離の問題を解決するために,レンズの選択や光学システムの再構成を行った。これに加えパターン光投影制御ソフトウェアの改良も行った。その結果,計測範囲を1.5倍程度,計測距離を2倍程度拡大することができた。これにより,開発したシステムはもっと実用できるレベルに近づいた。 2.計測時間の短縮。昨年度に構築したシステムでは,一回の計測には5秒以上の時間がかかる。また。一回の認識にも5秒以上かかる。即ち,一回の完全な計測と認識には10秒以上の時間がかかるので,実用化のために計測と認識の時間短縮が必要である。今年度では,デジタルカメラの写真撮影方法の改良,カメラからコンピュータへの撮影データの転送方法の改良,画像処理アルゴリズムの改良などを行った。その結果,計測と認識の合計時間を8秒以内に抑えることができた。 3.頭部モデル正規化方法の改良。今年度では,鼻の頂点とする頭部回転による頭部モデルの正規化手法を提案した。提案手法では,まず頭部の三次元画像計測結果から鼻の頂点を抽出する。次に抽出した鼻の頂点を中心とし,モデルをx,y,zの3方向を回転させることより,モデルを正規化する。検証実験の結果は提案手法の有効性を証明した。 4.最後に,本研究に得られた赤外光を利用した三次元画像計測の研究成果を建築物の三次元画像計測や海洋波の三次元画像計測など分野への応用研究を行った。
|