研究課題
本研究では水文学,地盤工学,地質学的,電磁気学的視点から崩壊前駆現象を整理・融合し,電磁気学的手法(自然電位法:能動的な手法で地表の2 点間の電位差測定に基づく手法)による土砂災害軽減に資する簡易な斜面崩壊の監視・予測技術の調査研究を行う.具体的には室内水槽実験およびin-situ 環境である実斜面において,(1)水文学―地盤工学―電磁気学結合に関する基礎データを蓄積,(2)自然電位トモグラフィーや雑音除去などデータ解析手法の開発,(3)解析結果の解釈と斜面崩壊プロセスの理解を進展,(4)電磁気学的手法による斜面崩壊の予測・監視システムのポテンシャルと問題点の把握,に関する調査研究を行う.平成23年度は実斜面計測用太陽電池駆動可能な省電力型マルチチャンネルデータ記録機器を開発と長期試験運用テストを実施した.1週間異常雨天が続いてもデータ収録システムとして機能し,また,天候回復後は正常に動作することも確認した.実際の設置の前に大容量データの通信テスト行う必要がある.また,水槽実験により,従来の斜面崩壊室内実験で観測された自然電位変動と動水勾配の関係を詳細に調査した.従来の斜面崩壊室内実験では、(1) 導水勾配すなわち間隙水圧の時空間変動に伴う自然電位の変動、(2) すべり面付近での大きな自然電位差の出現、(3) 崩壊20分前頃から発生するすべりbodyより下で検知される(1)では説明できないトランジェントな自然電位の変動、が検知されている。平成23年度の水槽実験を通して(1)の自然電位変動は地下水(間隙水圧)変動によって理論的に説明することができることがわかった.従って、(2)または(3)の自然電位変動が斜面崩壊の前兆現象として重要である可能性があると考えている.
3: やや遅れている
実斜面における観測データ収集が最大の目的であるが、徳島の候補地の地主は逝去されたため、交渉が滞った。そのため観測点設置が遅れている。新地主が決まり、交渉を再開したところである。水槽実験や計測装置の開発はほぼ順調に進んでいる。計測装置については、千葉大学で長期試験を実施しており問題なく動作しているため、土地交渉が終了次第観測機器の設置・実データの取得ができる状態にある。
新年度早めに地主と契約し、観測を開始する予定である。時間効率を上げるため、設置は工事業者を利用する予定である。また、インドネシアの斜面崩壊地帯での実データ観測を開始することができたので、そのデータ解析結果も組入れて、本研究を推進していく予定である。
新年度早めに地主と合意し、観測を開始する予定である。時間効率を上げるためが、センサ等の設置については費用の許す範囲で業者を利用する予定である。
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大気電気学会誌
巻: 5-1(78) ページ: 39-40