研究課題/領域番号 |
23651178
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武田 靖 東京工業大学, ソリューション研究機構, その他 (90108481)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 米国 / 国際情報交流 オランダ / 国際情報交流 英国 |
研究概要 |
(1)鳥衝突確率の理論をPointDynamics理論を用いて単純モデル化することができた。そこでは、鳥衝突確率と、鳥分布を高度の関数として表すことで、既存のデータベースや今後構築すべきデータ取得についての指針を明らかにされた。(2)米国FAAと国交省航空局の鳥衝突データベースを使って、衝突確率が高度に対して3層になっていることが判明した。(3)米国イリノイ大学によって取得された米国の空港における鳥高度分布データを用いて、理論の検証が可能かどうかを試みた。鳥高度分布のデータの信頼性が、鳥レーダーのデータだけからでは、それほど期待できず、あきらかな差異が見られることがわかった。しかし定性的には、本方法で理論の検証や、今後の予防対策に対する指針が得られるであろう感触は得られた。(4)独自に鳥高度分布を取得するための方法の開発を試す意味で、市販の3Dビデオ装置を用いて、飛翔ベクトルの取得原理の検証を行った。その結果、用いたもの程度の装置により原理的に十分可能であることが分かったが、測定範囲を空港全体に広げるための設計指針等を得ることができた。(5)今年度の研究の一部を、鳥衝突委員会北米大会において発表し、議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)PointDynamicsによる衝突確率理論では、従来提案されていた鳥密度ではなく、鳥飛翔フラックスを導入することで、より正しい衝突確率の推定が行えることがわかり、これまでの鳥衝突記録から得られている直観的理解と矛盾することのない傾向を定性的に導くことができた.(2)この理論の検証には、鳥密度の高度分布を使うことが手始めとして提案できるが、このデータの把握はこれまでほとんど行われておらず、米国FAAのデータを入手して利用することができたが、その信頼性に疑義があることが判明した.したがって、本研究で別途行ってきた、鳥ベクトルの捕捉手法の開発の重要性が再認識された.(3)過去の鳥衝突データベースを本格的に利用することはこれまでほとんど行われておらず、宝の持ち腐れの感があったが、米国FAA,イギリスCAAのデータベースと、日本国交省の鳥衝突データベースを解析することで、鳥衝突の高度分布に普遍的な傾向があることが判明した.この事実を、理論によって検証する対象とすることになった.(4)米国で行われた鳥衝突北米大会での発表と議論から、本研究の意義と方向性について、世界の担当者から認知をうけることができ、生物学関係者からも多くの関心が寄せられた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)鳥衝突データベースのより詳細な解析を行う.欧州EASAのデータベース調査並びに担当者との議論を翌年に行うことにした。(2)鳥分布関数の準備を行う.既存のデータの探索、あるいは、本方法で開発した装置を使用して、羽田空港での観察を計画中.(3)鳥衝突世界大会(Norway)での発表と議論を通じて、国際共同研究の可能性について探る(4)より規模の大きな鳥ベクトル観察装置を設計し、可能性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)データ取得および解析のための費用.(2)鳥衝突世界大会への参加旅費
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