鳥衝突データベースの解析を進めるために、前年度の米国、英国に、フランスとドイツを追加するべく、両国の担当者と交渉を行ってきた。入手は確約されたが、公式データベースとするための承認手続きが期限内に得られず、継続となった。後述のように、より多くの国のデータを解析することが要請され、ロシア、イタリア、ノルウェー等の欧州各国のデータベースも含めて展開することになった。またカナダのデータベースでは、高度の情報が一切含まれないという欠陥も見つけ、同国への勧告を発信した。(2)鳥分布関数の測定のために、米国イリノイ大学と共同研究をすすめ、ダラス空港(DFW)での新型鳥レーダーのデータ解析を共同で行うこととなり、一部の仮データを入手した。その結果、レーダでの観測は、空港直近での観測に誤差が大きいことが判明した。500フィート以上の高度でのデータを引き続き解析中である。(3)市販の3Dビデオ装置で取得したステレオ画像を解析することで、300m(1000ft)程度までの飛翔体の位置測定が十分可能であることを確認した。この技術を発展応用することで、空港での野鳥対策担当官による情報収集をより容易に、さらには高精度にすることが期待された。(4)鳥衝突世界大会(Norway)で研究成果の一部を発表・討論することで、より確度の高い理論研究とすることができた。特に大陸間での比較から、大陸や地域によらない、普遍性のある鳥衝突発生の高度依存性は各国の航空安全担当者の間での評価が高く、より多くの国を巻き込んだ今後の展開が期待された。
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