研究課題
細菌細胞内では、お互いに全く同じであるかあるいは高い相同性を有する配列が複数存在すると、その配列がリコンビネーションによって同調することが推測される。細菌細胞内で起こることが推定されるリコンビネーションについてその頻度を測定するために2つの実験系を構築した。Burkholderia multivorans ATCC 17616株は5コピーのribosomal RNA遺伝子、11コピーのISBmu2を有している。5つの16S rRNA遺伝子の配列のうち、5コピーの間に全く差異がない部分に数塩基の変異を導入したものを作成し、これを相同組換えによって17616株に組み込んだ株を作製した。また同様に、ISBmu2の配列に数塩基の変異を導入したものもを17616株に組み込んだ株を作製した。これらの株の培養を行い、導入した変異がどのような速度で消失するかを測定することで、細胞内のリコンビネーションによる配列同調を定量的、定性的に明らかにすることができると期待される。一方、細胞間リコンビネーションについて明らかにするための実験系の構築を行った。すなわち、ATCC 17616株由来のビフェニル資化性株について、紫外線照射および変異源処理によってビフェニルを単一炭素源として生育できない変異株を複数取得した。これらの欠損株はビフェニル資化性遺伝子あるいはアミノ酸生合成遺伝子などの何らかの遺伝子に変異を有するものと推測される。今後、これら変異株それぞれを解析するとともに、これらを混合してインキュベーションした後、ビフェニルを単一炭素源として生育できる株を取得し、リコンビネーションが、生育能を回復した株の発生に関与したかどうかについて明らかにする。また、2つの株間のリコンビネーションの頻度を測定するため17616株とB. lata 383株を混合し、滅菌土壌に接種し、培養を開始した。
2: おおむね順調に進展している
定量的PCRによって頻度を測定可能な系の構築に成功している。これにより今後、簡便にDNA配列の同調を定量的に評価することができる。また配列の同調がより高い頻度で起こることが想定される実験系を構築した。また今後の解析に必要となるソフトウエアについても機能拡充等を行い、利便性がいっそう向上している。
作製した実験系を用いて細胞内、細胞間のリコンビネーション頻度を明らかにする。また、17616株と383株の混合実験では、経時的に17616株を回収し、ゲノム配列に起きた変異の解析をイルミナシーケンサーによって行う。
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と併せ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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