研究概要 |
減数分裂期組換えにおいては高頻度組換え部位が形成されるが、そのような部位に共通する塩基配列はこれまで見出されていない。そこで本研究では、ゲノムワイドの解析が行われている出芽酵母やマウスの高頻度組換え部位を対象として、DNAの物理的特性の解析をはじめとした各種の解析を行い、クロマチン内の特定の領域に組換え部位が形成される分子的背景を明らかにすることを目的としている。 前年度は、出芽酵母で明らかにされたDSB(二本鎖切断部位)のホットスポット3,604箇所(Pan et al.: Cell 144, 719-731, 2011)、およびそれらの周辺領域を対象として、柔軟特性の解析と高次構造の解析を行い、DSBホットスポットには極めて硬い特性を持つDNA配列が、他の領域に比べて多く含まれていることを示唆する結果を得た。一方、高次構造については、明確な結論を得ることができなかった。平成24年度は、出芽酵母のDSBホットスポットを対象として、まず高次構造の解析を集中的に行った。その結果、当該部位にはゲノム上の他の部位と対比できるような高次構造上の特徴はないという結論に至った。さらに、平成24年度は、マウスにおけるDSBホットスポット9,874箇所(Smagulova et al.: Nature 472, 375-378, 2011)のすべてについて柔軟特性の解析を行った。興味深いことに、全プロファイルから求めた平均のプロファイルは出芽酵母のそれとは逆に、当該部位が極めて柔らかい特性をもつことを示した。
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