研究課題
生体内のタンパク質のほとんどは、他のタンパク質との相互作用により機能を発揮し、あるいは制御されることから、生命活動の理解にはタンパク質間相互作用を明らかにすることが不可欠である。我々はin vitro virus (IVV) 法による遺伝情報―機能分子対応付けとDNAシーケンサによる配列解析を組み合わせることで、高精度なタンパク質間相互作用解析法を確立し、多くのタンパク質間相互作用を明らかにしてきた。しかし、従来法ではmRNA-タンパク質対応付け分子(IVV分子)が会合する標的タンパク質の調製が必要であり、細胞内タンパク質の網羅的な相互作用解析の実施が困難であることから、本研究課題では、IVV分子自体を標的タンパク質として使用する新しい手法(IVVスクエア法)の開発を行った。平成24年度までの研究で、IVV分子どうしの相互作用複合体が形成できることを確認し、その精製方法を確立した。また、IVV分子複合体の検出にはエマルジョンPCRを用いることで効率化が図れることが判明した。平成25年度は、IVV 分子複合体の相互作用の強さ(解離定数の大きさ)に依存せず、形成された複合体を網羅的に検出することを目指し、IVV 分子間の架橋条件を検討した。モデル分子として、相互作用が既知である3 組のタンパク質(Fos-Jun、p53-Mdm2、CCKAR-CCKB)と、そのいずれとも相互作用しないことが既知であるタンパク質(CCNB1)を用い、①架橋反応によって複合体の濃縮効率が向上する(Fos-Jun の場合20倍)、②多種類のIVV 分子が共存する系においても、複合体を形成する組み合わせ間の架橋が顕著に多く生じる、③IVV 分子の密度を合成時の1/100 になるように希釈して4 ℃で反応を行うことで非特異的なIVV 分子間の架橋を抑制できる、という3 点を明らかにした。以上の結果は、IVV スクエア法の重要な工程である、タンパク質間相互作用を塩基配列情報として取り出す技術の基盤を確立できたことを示している。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 15 ページ: 1-5
PLoS ONE
巻: 9 ページ: 1-5
BioMed Research International
巻: 6 ページ: 1-5
Methods in Molecular Biology
巻: 1164 ページ: 1-20
巻: 1164 ページ: 21-40
Protein Engineering, Design and Selection
巻: 8 ページ: 533-537
10.1093/protein/gzt031
『実験医学』(増刊)「ゲノム 医学・生命科学研究」総集編
巻: 31 ページ: 2405-2411
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/interactome/index.html