研究概要 |
H23年度はH22年度申請書に提案した植物ホルモン、ジャスモン酸イソロイシン(JA-ile)を利用した新規デグロン発現調節法の開発をおこなった。そのために、シロイヌナズナよりJA-ileリセプターと考えれるF-boxタンパク質COI1をクローニングして、COI1を発現する出芽酵母を作成した。また、よりCOI1がSCF複合体に取り込まれやすくするために、SCFのサブユニットSkp1を融合したSkp1-COI1を発現する株も作成した。分解標識としては、シロイヌナズナよりJAZ1, 2, 5, 10をクローニングし、GFPとの融合遺伝子として出芽酵母に導入した。またJAZ1, 2, 5, 10を細胞内の必須因子MCM4のC末端に導入し、Mcm4-JAZを発現する株も構築した。 GFP-JAZを発現マーカーとして、培地に2mMまでJA-ileを添加したが、有意なGFP-JAZの発現抑制は観察されなかった。また、Mcm4-JAZ発現株をプレート上で成育させる際に、寒天培地にJA-ileを添加したが、Mcm4-JAZ分解による成育阻害は起こらなかった。これらアッセイはオーキシンを用いた発現抑制法に対しては有効に機能したことを考えると、JA-ileシステムが機能しない根本的な理由を考える必要が出てきた。 植物内のJA-ileによる分解コントロールは比較的最近に明らかになった分解機構であり、現在提示されているモデルが必ずしも正しい訳でないかもしれない。そこで私たちは報告されている結合性が再現できるか、TIR1-IAA17(オーキシンシステム)とCOI1-JAZ1(JA-ileシステム)の結合を酵母two hybrid法で検証した。その結果、TIR1-IAA17の結合は見られたが、COI1-JAZ1の直接結合は見られなかった。
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