研究課題
近年、レポーター蛋白質(GFPなど、発光活性を有する標識蛋白質)を用いたバイオイメージングは分子生物学の必須なツールとなっており、レポーター蛋白質の発光活性の制御は重要な課題である。この課題に対して、我々は、生物発光を触媒する最も小さな酵素であり、多数のSS結合を有するガウシア由来のルシフェラーゼ(以下、GLuc)の改良を目指して以下の研究を実施していた。本研究の大きな挑戦は、我々が開発した溶解度向上ペプチド系タグ(SEPタグ)を用いて多数のSS結合を有するGLucを大腸菌で可溶性画分で発現させることで、汎用的な系でその改変実験を可能にすることである。さらに、可溶性画分で発現したGLucを効率的にスクリーニングするには、その発光活性を未精製状態で測定することも必要である。H23年度には、両方の問題を解決するために、VanXによる大腸菌の自己溶菌効果を応用したスクリーニングを開発した。H24年度には、GLuc配列中の親水性領域の4残基をランダム変異させ、H23年度に開発した手法を用いて、GLucの発光活性をスクリーニングした(黒田ら、未来材料、Kamioka T et al, Analytical Biochemistry、印刷中)。その結果、約100個のクローンから発光極大波長が最大で9nmレッドシフトした変異体を同定した。今後は、発光色を変えたGLucの開発を目指し、発光最極波長をさらに30nm以上シフトさせた変異体を同定する。GLucの発光色を改変することで、1回の実験で複数の標識(プローブ)を区別して同時に測定することが可能になる。その結果、バイオイメージングにおけるGLucの応用範囲が格段に広がると期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件)
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