1)RNAiと細胞周期の相関解析: 平成23年度に行ってきたRNAiの細胞周期依存性の解析を引き続き行った。まず、あらかじめ細胞周期を異なる周期に同調させてからRNAi効果の違いを見る方法により解析した。加えて、生細胞において特定細胞周期を可視化しておいて、瞬時に細胞内にRNAを導入する技術によって、異なる細胞周期におけるRNAi効果の違いを調べた。以上の実験手法については確立することができた。細胞周期によるRNAi効果の違いは見えたが、明確な相関を見いだすためにはもう少し再現性を確認する必要がある。 2)RNAによる細胞分化の誘導~RNA導入のタイミングの検討~:光誘導RNA導入法により細胞分化誘導を試み、RNA導入のタイミング(特に細胞周期との関連)を検討することで、最適な分化誘導条件を見つけることを目的として研究を進めた。 ここでは、shRNAまたはmiRNAの導入による筋芽細胞から筋細胞への分化を題材にした。 マウス筋芽細胞株 C2C12から筋細胞への分化の際に発現量が上昇することが知られているmiRNAを細胞内に導入し、それによって分化を促進させることができるかどうかを検証した。 結果としてmiRNAの細胞内導入により分化促進を起こすことができた。さらに、RNA導入のタイミングの細胞分化に与える影響については、現在検討中であり、これが明らかになれば再生医療に役立つ様々な細胞分化誘導への適用に向けて展望が開けると考えている。
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