研究課題
TOR経路においてTOR自体を標的とするワートマニンと未同定の活性化因子を標的とするTPCK、酵母Rim101経路においてプロテアーゼRim13を標的とするE-64-dという3種類の活性依存型阻害剤に対し、その修飾基をハプテンとした抗体を作製した。抗ワートマニン抗体は、培養細胞を用いた実験において、内在性mTORのワートマニン化をウエスタン法により検出することが可能な力価と特異性を備えていた。そこで、mTORに対するワートマニンの反応性が培地中のアミノ酸栄養の有無により変化するかどうかをこの抗体を用いて調べたところ、mTORC1活性が低下することが確認されたアミノ酸飢餓条件下においても、反応性の低下は認められなかった。このことは、mTORC1活性がmTOR自体のキナーゼ触媒活性とは別のレベルで制御されていることを示唆している。抗TPCK抗体は、培養細胞を用いた実験において、ウエスタン法により複数の内在性タンパク質のTPCK化を検出することができた。これらのTPCK化タンパク質には、raptor、rictor、mLst8、mSin1などのmTOR複合体構成因子は含まれていなかったが、mTORがTPCK化されることを見出した。TPCK化される残基をmTOR上に2箇所同定したが、これらの残基に変異を導入した変異体mTORもTPCK耐性を示さなかったため、これらの修飾の意義は不明である。抗E-64抗体は、ハプテンを抗原としたELISAでは十分な力価と特異性とを備えていたが、E-64化したパパインをウエスタン法により検出することができなかった。E64化された種々の基質に対する反応性を検討した結果、ペプチド内のシステイン残基が修飾された抗原に対する力価が低いことが明らかになり、修飾プロテアーゼの検出のためにはペプチド性の抗原を用いて抗体を作製する必要があると考えられる。
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