研究課題/領域番号 |
23651236
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小比賀 聡 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80243252)
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研究分担者 |
橘 敬祐 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30432446)
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キーワード | 高機能性人工核酸 / BNA / アンチセンス分子 / スプライシング制御 / エクソンスキップ / 筋ジストロフィー / 家族性高コレステロール血症 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、高機能性人工核酸BNAアンチセンス分子を用いて、前駆体mRNAのスプライシングを制御する技術を開発することである。 まず、筋ジストロフィーの原因遺伝子ジストロフィンに対して、エクソンをスキップするBNAアンチセンス分子の開発を行った。標的とするエクソンの領域を網羅的にカバーするアンチセンス分子を多数設計し、エクソンをスキップさせるか否かをH23年度に作製した評価系を用いて検証した。その結果、効果的にエクソンをスキップさせるアンチセンス分子を複数得ることに成功した。これら効果を持つアンチセンス分子の標的配列を精査した結果、ジストロフィン遺伝子の58番目のエクソンのスキップに寄与する領域を3ヶ所に絞り込むことができた。 一方、既に構築していた家族性高コレステロール血症の原因遺伝子LDLレセプターのスプライシングの違いを検出できる評価系を用いて、スキップするエクソンを回復させるBNAアンチセンス分子の開発も行った。LDLレセプター遺伝子の配列を参考にエクソンの含有を促進するESE配列を設計し、BNAアンチセンス分子と繋いだ。このアンチセンス分子の効果を検証した結果、エクソンの回復は認められなかった。一方で、予想に反してエクソンのスキップを亢進するアンチセンス分子が数種得られた。このことは、今回用いたESE配列が機能しないだけでなく、エクソン含有に寄与する因子を阻害した可能性が考えられた。今後、ESE配列を改善することでエクソン回復の実現を目指す。 以上本研究は、アンチセンス分子を用いたスプライシング制御技術の開発に大きく貢献するものであり、本研究を発展させることでスプライシング異常に起因する疾患を治療できる新たな核酸医薬の開発に繋がることが期待できる。
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