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2011 年度 実施状況報告書

細胞内クロライドアニオンを可視化する蛍光プローブ分子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23651238
研究機関九州大学

研究代表者

王子田 彰夫  九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10343328)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードクロライドイオン / 蛍光プローブ / バイオイメージング / 細胞機能
研究概要

当該年度では、まずクロライドアニオンを衝突消光型の蛍光応答でセンシングできる新しい蛍光化合物のスクリーニングを行った。20種類以上の化合物の機能検討の結果、アクリジニウムアミド型の化合物がクロライドイオンに対して良好な蛍光減衰型のセンシング能を持つことを見出した。本化合物は、比較的長波長の吸収極大(λmax = 398 nm)や蛍光量子収率(0.38)を持つ事、従来のクロライドアニオンセンサーであるルシゲニンと比較して高い光安定性を持つなど、蛍光プローブとして優れた特性を有している事を明らかとした。さらに本研究では、アクリジニウムアミドを用いた細胞内クロライドイオンの蛍光センシングの検討を行った。グリシン受容体を発現させたHEK細胞に本化合物を導入後、細胞に対してグリシンを作用させると、細胞内へのクロライドイオンの流入に伴う蛍光強度の一過的な減少が観察された。一方、グリシン受容体のアンタゴニストであるストリキニーネ存在下では、グリシン刺激による蛍光強度の減少は観察されなかった。この事より、新たなに見出したアクリジニウムアミド化合物は細胞内でクロライドアニオンの濃度変化を検出できる蛍光プローブとして機能することを見出した。一方で、もう一つの計画である二波長レシオ型の蛍光プローブ開発については、デザインした化合物が予想以上に合成が困難である事、合成したプローブが蛍光を発しないなど光学特性が極めて悪い事などの理由から、当初の計画どうりには進捗していない状況にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アクリジニウムアミド型の化合物を新たにクロライドアニオンを蛍光検出できるプローブとして見出し、細胞系でのイメージングに応用できたことは研究計画よりも速い研究進展である。一方で、二波長レシオ型の蛍光プローブの開発は困難な状況にあり、予想よりも開発が遅れている。

今後の研究の推進方策

アクリジニウムアミド型のセンサー分子については、集積型の高輝度センサー化を図ることで神経細胞のベシクル小胞におけるクロライドアニオン濃度変化の検出を目指す。また、同化合物へ細胞膜透過性の付与を行い、細胞内クロライドアニオンの濃度変化を導入操作無しで検出できるプローブへ改変することを目指す。一方、二波長レシオ型の蛍光プローブについては、これまでの分子デザインを見直し、より簡便な合成法に沿ってセンサーとして機能するプローブ分子を見出すことを目標として検討を進める。

次年度の研究費の使用計画

本研究の最終年度である次年度では、研究費のほとんどを有機合成用試薬あるいは蛍光イメージングのための消耗品代として使用する予定である。また、50万円以上の備品を購入する予定はない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 生体内クロライドアニオンを検出する新規蛍光プローブの開発

    • 著者名/発表者名
      熊手 彩音、押川 裕二、中園 学、王子田 彰夫
    • 学会等名
      日本化学会弟92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学日吉キャンパス
    • 年月日
      2012年3月26日

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公開日: 2013-07-10  

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