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2011 年度 実施状況報告書

生殖幹細胞、iPS細胞樹立による固有魚類の保全

研究課題

研究課題/領域番号 23651248
研究機関立命館大学

研究代表者

高田 達之  立命館大学, 薬学部, 教授 (90206756)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード固有種 / ホンモロコ / 生殖細胞 / 精原細胞 / iPS
研究概要

1. 琵琶湖固有種ホンモロコの精巣由来細胞株(セルトリ細胞)の樹立精原細胞の樹立に先立ち、その維持、成熟生殖細胞分化に必要とされる精巣に存在する体細胞(セルトリ細胞)の樹立を行った。琵琶湖固有種であるホンモロコはコイ目、コイ科である。そこで同じコイ科に属するゼブラフィッシュのセルトリ細胞株の樹立、培養条件を参考にして細胞株の樹立を試みた。その結果、初期は順調に増殖するが、継代が進むと急激に増殖が落ち、増殖しなくなるという現象が見いだされた。そこで様々な増殖因子を添加し、ホンモロコ細胞が増殖可能な培養条件を見いだした。この方法で培養することにより、ホンモロコから精巣由来の細胞株樹立に成功した。樹立した細胞株の遺伝子発現を調べたところSox9a, WT1,等の精巣特異的遺伝子発現が認められた。一方でVasa, Ziwi等の生殖細胞特異的遺伝子発現は認められなかったことからホンモロコのセルトリ細胞株が樹立できたと考えられた。2. セルトリ細胞株樹立条件下における精原細胞の増殖条件の検討上記、精巣由来の細胞株樹立条件で培養するとセルトリ細胞の上に接着してコロニーを形成する精原細胞も培養初期に観察された。その増殖はある程度維持されたが継代を重ねるにつれてそれらの数は減少し、最終的に失われた。培養液にマウス生殖幹細胞(GS)の増殖に必要な因子GDNF, LIFを添加し、精原細胞の増殖を観察し、精原細胞樹立条件の検討を行ったが、体細胞の増殖が早く、生殖細胞培養には体細胞の混入を最小限にすることが重要であると考えられた。一方で精原細胞は常に体細胞の上に接着して存在したことからその培養にはフィーダーとしての体細胞が必要であることが示された。さらにセルトリ細胞株の樹立条件でホンモロコの受精卵由来の細胞株も樹立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画以上に達成することができた。まずホンモロコ精巣由来の細胞の継続的な増殖条件を見いだすことができ、細胞株の樹立に成功した。樹立した細胞株は遺伝子発現解析の結果、セルトリ細胞株であると考えられた。また本培養条件でホンモロコにおいてもゼブラフィッシュで観察される様な精原細胞が認められ、その増殖条件の検討が可能であることが示された。さらにホンモロコ受精卵由来の細胞株の樹立も達成した。

今後の研究の推進方策

1.様々な時期におけるセルトリ細胞株の樹立と樹立したセルトリ細胞株をフィーダー細胞とした精巣の生殖細胞(精原細胞)の培養条件の検討および樹立ホンモロコは季節繁殖性であるため精子形成は繁殖期(4~6月)に限られ生殖細胞分化はほぼ同調していると考えられる。すなわち、非繁殖期精巣では精子分化は抑制されていると考えられ、維持に適した細胞が、繁殖期には分化を促進させるセルトリ細胞株が樹立できる可能性がある。そこで繁殖期、非繁殖期において精巣切片を作製し、精子の分化状態を調べると共に経時的にセルトリ細胞株の樹立を試みる。同時にこれらのセルトリ細胞株をマイトマイシンC処理により、増殖を阻害し、フィーダー細胞として用いる。この細胞の上で精巣から調整した精原細胞を培養する。この際、培養液にマウス生殖幹細胞(GS)の増殖に必要なGDNF, LIF,IGFなどの増殖因子を添加し、精原細胞の維持、増殖条件を検討し、生殖細胞株の樹立を試みる。2.ホンモロコiPS細胞の樹立哺乳動物iPS細胞樹立においてOct4,Sox2, Klf4,c-Mycは近縁種であれば良く、必ずしもその種由来である必要がないことがわかっている(マウスiPS, サルiPSはヒト由来の4因子ベクターを使用して作製できる)。そこでマウスまたはヒト由来4遺伝子Oct4,Sox2,Klf4,c-Mycベクターの導入を先行させ、魚類固有種でiPS細胞の樹立ができるか否かを試みる。具体的にはGFP等のマーカーを発現するベクターを用いて遺伝子導入条件の検討、至適化を行い、4因子の遺伝子導入実験を行う。

次年度の研究費の使用計画

主に細胞培養に必要な培養液、血清、増殖因子、プラスチック製品、およびプラスミド精製、遺伝子導入に必要な装置、試薬、キットの購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] ホンモロコ由来細胞株の樹立と生殖細胞培養の試み

    • 著者名/発表者名
      高田達之、小山芳江、島田愛美
    • 学会等名
      第1回ホンモロコ研究会
    • 発表場所
      滋賀県水産試験場(滋賀県)
    • 年月日
      2011(12 – 5)
  • [備考]

    • URL

      http://www.ritsumei.ac.jp/research/r-giro/projects/environment/biosensor.html/

  • [備考]

    • URL

      http://www.collabo.sk.ritsumei.ac.jp/laboratory/takada.htm

  • [産業財産権] モロコ細胞株・その製造方法及び用途2011

    • 発明者名
      高田達之、小山芳江、酒井則良
    • 権利者名
      高田達之、小山芳江、酒井則良
    • 産業財産権番号
      特許: 2011-129549
    • 出願年月日
      2011年06月09日

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公開日: 2013-07-10  

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