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2013 年度 実施状況報告書

生殖幹細胞、iPS細胞樹立による固有魚類の保全

研究課題

研究課題/領域番号 23651248
研究機関立命館大学

研究代表者

高田 達之  立命館大学, 薬学部, 教授 (90206756)

キーワード固有魚 / 精子分化 / 生殖細胞 / ホルモンセンサー
研究概要

ホンモロコの受精卵由来細胞株の特性解析および培養条件の検討を行った。その結果、受精卵で高い発現を示すOct4(Pou2), nanog, sox2, klf4は発現していないが正常な染色体数を維持していること、また様々な核レセプターを発現していることが明らかとなった。本研究で樹立した細胞株がエストロジェン、アンドロジェン、プロジェステロン、グルココルチコイド受容体を発現していることから、セルトリ細胞由来細胞にMMTV/pGL4.36 ベクターを導入し、内在性の核内レセプターを用いたアンドロジェン、プロジェステロン検出系を構築した。その結果、本細胞株は魚類特有のアンドロジェン,11KTおよびプロジェステロン,DHPに特異的、濃度依存的に反応するが、テストステロンには反応しないこと、内分泌攪乱作用を持つとされるノニルフェノールが、琵琶湖固有種ホンモロコのセルトリ細胞に対して抗アンドロジェン作用を持つこと、またビスフェノールAがアンドロジェン様作用を有することが明らかとなった。これらの結果は、本細胞株が固有種特有のホルモン応答、内分泌攪乱作用を検出するテーラーメードバイオセンサーとして利用可能であることを示唆した。
次にホンモロコにおける精子のin vitro分化系の確立を目的とし、繁殖期、非繁殖期の成魚精巣に加え、稚魚精巣を用いてin vitro分化実験を行い、運動能を有した精子分化に成功した。フローサイトメトリー解析により、1倍体精子の形成が確認されたことからin vitroで減数分裂が正常に進行していると考えられた。
また、ゼブラフィッシュ受精卵由来の初代培養細胞を用い、ヒトOct4,Sox2, Klf4,c-Myc遺伝子をエレクトロポレーションにより導入し、iPS細胞の樹立実験を試みたところ、アルカリフォスファターゼ弱陽性コロニーの形成が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

繁殖期から非繁殖期に至る様々な時期の精巣、卵巣、受精卵において細胞株樹立に成功した。
また、ホンモロコ精巣、卵巣、受精卵由来細胞株がエストロジェン、アンドロジェン、プロジェステロン、グルココルチコイド受容体を発現していることを見出し、MMTV/pGL4.36ベクターを導入し、内在性の核内レセプターを用いたアンドロジェン、プロジェステロン検出系を構築した。その結果、テストステロンには反応せず、魚類特有のアンドロジェン,11KTに反応することが示され、固有種のホルモン応答解析に有用であることが示された。さらに、ノニルフェノールが、琵琶湖固有種ホンモロコのセルトリ細胞に対して抗アンドロジェン作用を持つこと、またビスフェノールAがアンドロジェン様作用を有することを見いだした。
稚魚精巣からもin vitro精子分化が可能であることを示すと共に、ヒト由来Oct4,Sox2, Klf4,c-Myc遺伝子導入実験を行った。

今後の研究の推進方策

1.精原細胞培養、in vitro精子受精能
樹立した繁殖期、非繁殖期、受精卵由来細胞株をフィーダー細胞として用い、精原細胞の維持培養、生殖細胞株の樹立を試みる。
2.in vitro分化系により作製した精子の受性能を確認し、機能的な精子がin vitroで作製可能であることを示す。
3.ホンモロコiPS細胞の樹立
エピソーマルベクターを使用し、Oct4,Sox2, Klf4,c-Mycを導入し、固有魚種、ホンモロコの細胞を用いてiPS細胞の樹立実験を行う。

次年度の研究費の使用計画

25年度に繁殖期、非繁殖期の成魚精巣由来細胞を用い、in vitro分化により形成した精子と固有種成熟卵による人工授精実験を行う予定であったが、共同研究先の人事異動等の事情により、成魚、成熟卵の入手が予定通り行えず、未使用額が生じた。繁殖は年1回の季節繁殖のため、次年度に当該実験を行うこととした。
主に固有種、ホンモロコ成魚、細胞培養に必要な培養液、血清、増殖因子、プラスチック製品、およびプラスミド精製、遺伝子導入に必要な試薬、キットの購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] PRDM14 promotes active DNA demethylation through the Ten-eleven translocation (TET) mediated base excision repair pathway2014

    • 著者名/発表者名
      Okashita N., Kumaki Y., Ebi K., Nishi M., Okamoto Y., Nakayama M., Hashimoto S., Nakamura, T., Sugasawa K., Kojima K., Takada T., Okano M., and Seki, Y.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 141 ページ: 269-280

    • DOI

      10.1242/dev.099622

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Response to fish specific reproductive hormones and endocrine disrupting chemicals of a Sertoli cell line expressing endogenous receptors from an endemic cyprinid Gnathopogon caerulescens2013

    • 著者名/発表者名
      Higaki S., Koyama Y., Shmada M., Ono Y., Tooyama I., Fujioka Y., Sakai N., Ikeuchi T., and Takada T.
    • 雑誌名

      Gen. Comp. Endocrinol.

      巻: 191 ページ: 65-73

    • DOI

      10.1016/j.ygcen.2013.06.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of genistein, kaempferol and daidzein on neural differentiation of mouse embryonic stem cells2013

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Y., Ushida M., Taniguchi Y., Takada T., Kojima N.
    • 雑誌名

      J. Res. Inst. Meijo Univ.

      巻: 12 ページ: 81-90

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cryopreservation of zebrafish (Danio rerio) primordial germ cells by vitrification of yolk-intact and yolk-depleted embryos using various cryoprotectant solutions2013

    • 著者名/発表者名
      Higaki S., Kawakami Y., Eto Y., Yamaha E., Nagano M., Katagiri S., Takada T., Takahashi Y.
    • 雑誌名

      Cryobiology

      巻: 67 ページ: 374-382

    • DOI

      10.1016/j.cryobiol.2013.10.006

    • 査読あり
  • [学会発表] ガラス化低温保存したホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)精巣細胞からのin vitroにおける精子生産

    • 著者名/発表者名
      檜垣彰吾, 島田愛美, 小野友梨子, 藤岡康弘, 酒井則良, 高田達之
    • 学会等名
      第19回日本野生動物医学会
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
  • [学会発表] ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)由来Sertoli細胞株を用いたホルモン作用解析系の開発

    • 著者名/発表者名
      檜垣彰吾, 小山芳江, 島田愛美, 小野友梨子, 遠山育夫, 藤岡康広, 酒井則良, 池内俊貴, 高田達之
    • 学会等名
      第106回日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京都)
  • [学会発表] ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens) 精子のin vitro 分化培養系の確立

    • 著者名/発表者名
      島田愛美, 檜垣彰吾, 藤岡康弘, 酒井則良, 高田達之
    • 学会等名
      106回日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京都)
  • [学会発表] ノニルフェノールがES細胞の生殖細胞分化に与える影響

    • 著者名/発表者名
      小野友梨子, 吉田絢菜, 引原直樹, 檜垣彰吾, 高田達之
    • 学会等名
      第16回日本内分泌撹乱化学物質学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
  • [学会発表] ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)由来Sertoli細胞株を用いた内分泌攪乱物質検出系の開発

    • 著者名/発表者名
      檜垣彰吾, 小山芳江, 島田愛美, 小野友梨子, 藤岡康広, 酒井則良, 池内俊貴, 高田達之
    • 学会等名
      第16回日本内分泌撹乱化学物質学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
  • [学会発表] 環境化学物質がES細胞の生殖細胞分化に与える影響

    • 著者名/発表者名
      高田 達之
    • 学会等名
      第9回霊長類医科学フォーラム
    • 発表場所
      文部科学省研究交流センター(茨城県)
    • 招待講演
  • [備考] R-GIRO

    • URL

      http://www.ritsumei.ac.jp/research/r-giro/projects/environment/biosensor.html/

  • [産業財産権] タモロコ属魚類精子の受精能の評価方法2014

    • 発明者名
      高田達之、檜垣彰吾、島田愛美、酒井則良
    • 権利者名
      学校法人立命館 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2014-20931
    • 出願年月日
      2014-02-06

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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