研究課題/領域番号 |
23651254
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 育男 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (40056338)
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研究分担者 |
新谷 俊裕 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (40187563)
田辺 欧 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (60243276)
高橋 美惠子 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (90324871)
石黒 暢 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (20273740)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / スウェーデン / デンマーク / 北ヨーロッパ / 情報収集 / 情報管理 / 情報公開 |
研究概要 |
本研究課題は、世界の特定地域を理解する上で重要となる情報資源の共有化の問題に資するべく、市民的共治の基盤として情報資源の集積・管理・公開制度を先駆的に構築してきたスウェーデン、デンマークの事例を、人文学的研究手法と社会科学的研究手法を融合させることで多角的に検討することを目的にしている。 この研究の出発点として、平成23年度はスウェーデン・アカデミーやデンマーク国語審議会・研究所に属する研究者と連携し、スウェーデン、デンマークの政治・社会・文化のすべての側面において情報資源の活用の基盤に位置づけられる言語情報の扱われ方に焦点を置き、平成23年8月2日、平成23年11月29日・30日に大阪大学でセミナーを開催し議論を重ねた。これらのセミナーは、本研究に属する研究分担者がこれまで個々に構築してきたデンマーク、スウェーデンにおける研究ネットワークを活用して実現されたものであり、スウェーデン、デンマークにおいて推進されている言語政策の根幹に関わる現地研究者と日本の北欧研究者が、言語情報をめぐる資源活用について双方の知見を交流させた点で意義深い。(現地研究者との連携の成果は、本研究の最終報告、ならびに現在本科研を用いて作成中のホームページ上において公開される予定である。) また研究実施計画にある言語以外の社会・文学・歴史の各側面における情報資源の集積と公開については、各研究分担者が予備的な情報収集作業を行い、その成果の一端は本研究が本科研の最終年度に公開できるよう作成を進めているホームページ上に集積されている。このホームページの公開については当初の研究実施計画にはなかったものだが、平成23年度の研究遂行の過程でスウェーデン、デンマークにおける情報活用のあり方はほぼ日本で紹介されていないために本研究の成果の果たす社会的意義は大きいと判断し、最終年度の公開にむけて作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、市民的共治の基盤として情報資源の集積・管理・公開制度を先駆的に構築してきたスウェーデン、デンマークの事例に関して、言語・歴史・社会といった各分野における情報活用のあり方について、現地の先端的な状況を検討することで推進されている。そうした本研究の実施計画を十全に実現するには各分野の現地研究者との国際情報交流が必要不可欠であるが、この点で当初の研究実施計画に具体的に記載していなかった成果を挙げている。 まず平成23年度は、大阪大学世界言語研究センターに属する研究者がこれまで個別に築いてきた研究ネットワークを活用することで、スウェーデン・アカデミーやデンマーク国語審議会・研究所に属する研究者と連携することが実現された。これにより、スウェーデン、デンマークにおける言語政策の根幹に関わる言語情報の活用を集中的に検討することができただけでなく、本研究が目的に掲げた情報資源の活用というテーマを通じて、日本の北欧研究者と現地の研究者がそれぞれの研究分野に応じて将来的に研究交流を行える可能性を得た。 また、こうして実現された現地研究者との交流から日本人研究者が得た知見をもとに、本研究が検討しているスウェーデン、デンマークにおける情報活用のあり方を日本に広く公開する社会的意義は大きいと判断し、当初の研究実施計画になかった本研究の成果公開のためのホームページの作成を開始、最終年度の公開にむけて作成を進めている。このホームページについては、最終的に各研究分担者の研究成果を整理するものとして作成を進めるのではなく、歴史・文学・社会といった各研究分野における情報活用のあり方に関する予備的報告を順次掲載、各分担者間でその内容を共有することで、ヴァーチャルな研究会合の場としても運用している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度については、平成23年度で得られた本研究推進のノウハウを援用し、歴史・文学・社会の各分野におけるスウェーデン、デンマークの情報資源の活用のあり方について現地研究者との緊密な連携のうえに検討を進め、市民的共治の基盤としてスウェーデン、デンマークに特徴的な情報資源の集積・管理・公開のあり方を整理する予定である。 まずは歴史・社会・文学の分野における情報活用について、しかるべき知見をもった現地研究者を招聘し、大阪大学にて日本人の北欧研究者と連携したセミナーを開催する。この招聘にあたっては、大阪大学大学院言語文化研究科に属する各研究分担者(本研究の代表者・分担者の所属は、平成24年4月よりすべて大阪大学大学院言語文化研究科へ移った)が、それぞれの研究分野においてこれまで構築してきた研究ネットワークを活用する。 またその一方で、それぞれの研究分担者は、当初研究実施計画にありるように、言語・歴史・文学・社会の各側面にからスウェーデン、デンマークに特徴的な情報資源の集積・管理・公開制度のあり方について検討を進めるが、本研究が有する日本における社会的意義を鑑み、それらの検討成果と、平成23年度以来の国際情報交流の成果をホームページに整理して、段階的に公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
収支状況報告書に記載された次年度使用額分の160,243円については、当初平成23年度に予定されていた研究分担者(1名)による海外渡航調査が同年度内に困難になったために生じた余剰分である。この余剰分の使途については、平成23年度の後半にスウェーデン、デンマークの現地研究者との国際情報交流から得られた知見に基づき、本研究の成果公開を目的としたホームページの作成にかかる経費として執行を予定した。このホームページ作成にあたっては、民間の印刷業者(能登印刷株式会社)が大学・研究機関に提供するウェブサイト作成システム(ラボラトリーズ)を使用して進められることとなったが、平成23年度における同システムの使用期間が1ヶ月と短期間だったために同年度内での経費執行は行われず、平成24年度の使用料に平成23年度分の使用料を合算して支払うこととなった。それゆえ、収支状況報告書に記載された次年度使用額分については、平成24年度の研究実施計画のなかでも、本研究の成果公開を目的としたホームページ作成で使用される。
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