カンポット県とプレイヴェン県の対象4村で、農民協会リーダーが生計記録と乳幼児体重測定記録・栄養・健康啓発を続けた。また乳幼児の体重測定を行わず生計記録だけをつける新たな対象4村を増やした。3年目は新4村と旧4村で新たに生計記録を始めるボランティアが47人増え、旧4村で生計記録を続ける15人とあわせ計62人が2014年3月付で生計記録を続けた。 主な成果は第一に、使いやすい「生計記録シート改訂版」の作成である。第二に、生計記録シートを用いて、18人の農家が2012-2013年、生計記録を完了した。生計記録は、カンボジアの農家が1年間に収穫した農産物の量・自家消費量・販売量、農業による収入、非農業収入、支出(農業投資、食費、教育費、治療費、その他)、病気だった家族の人数と日数、固定資産、貯金、借金を含む。第三に生計記録により、農家の意識が高まり、節約する行動変容がみられた。第四に、連携研究者が農村低栄養調査で、乳幼児の体重測定を行った4村の内、3村では乳幼児は生後4-5カ月頃までは約7-8割が成長曲線上平均体重ライン以上に位置していたが2.5-3才では約9割が平均ライン以下であった。1村のみで乳幼児の半数近くが平均体重ライン前後を維持し、体重が低下しておらず、理由を訊くと、自給野菜やアヒルの卵を食べるなど、他村と異なることがわかった。栄養と離乳食について農家の知識不足がみられた。 生計記録によって項目別の支出が可視化され、支出が収入を上回ることに気づき、自ら不必要な支出が何かを考えて減らす行動変容がみられた。節約したのは、酒、煙草、服、靴、ガソリン、外食、携帯電話代などである。食費を減らすため農産物は買わずに自ら生産し、自然界から小魚、食用作物などの採集していた。その他、貯金、予算管理、長期計画をするようになった、お金の使途が明確になり夫婦喧嘩が減った、などの感想が寄せられた。
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