研究課題/領域番号 |
23651262
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横本 真千子 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (70463726)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 女性家事労働者 / インドネシア / ジャワ農村 |
研究概要 |
当研究は、インドネシアの女性家事労働者に焦点を当て、農村の女性労働力市場と都市(さらには海外)への送り出しシステムを考察する。具体的には、出身農村から都市への入職システム、就業実態、就業経験などの就業構造、女性の学歴や職歴構成、女性の出身農村世帯の家族・家計構成および出身地域の産業構造、さらに女性家事労働者のライフサイクルなどを経済学的に分析する。 インドネシア女性労働力市場において、農村出身の女性家事労働者は、階層化がすすむ低層部に位置し、上位に位置する都市エリート女性を下支えする。さらには、国内における女性の上位労働市場・下位労働市場の構造が、国際労働力市場の形成により国際的に再編されることを明らかにする。 研究初年度である平成23年度は、インドネシア農村において女性家事労働者の調査をおこなう予定であったがLIPI(インドネシア調査学術機関)からの研究員資格の認定に当初の予定以上の時間を要し、農村での調査を実施できなかった。 平成23年度は、当初計画の農村調査に代わりバンドン市の女性家事労働者派遣業者において平成20年度にすでにおこなった調査の追跡調査をおこなった。女性家事労働者の海外出稼ぎがいっそうすすむ中で、国内向けに女性家事労働者を仲介する派遣業者がどう対応したのかについてインタビューによる聞き取りをおこなった。平成23年度調査により、農村出身の若い女性が賃金の高い海外出稼ぎを好む傾向のある中で、既婚の子持ちあるいは介護が必要な親をもつ女性は国内で働くことを選択するという傾向を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
インドネシア農村において女性家事労働者の調査をおこなうために必要なLIPI(インドネシア調査学術機関)からの研究員資格の認定に当初の予定以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、平成23年度に予定していたものの実施できなかった農村調査を遂行する。現地調査は、バンドン市の女性家事労働者派遣業者が実際に家事労働者の募集をおこなっている農村においておこなう。調査地域は、ジャワ島における女性家事労働者の最大出身地域である東ジャワ州ンガウィ県である。農村において50人程度の女性家事労働者の家計調査をおこなうによって女性家事労働者の出身階層を明らかにする。さらに出身農村の経済構造、産業構造そして労働市場について調査をおこなう。 さらに研究最終年度である平成24年度は、香港においてインドネシア人家事労働者を対象にインタビュー調査をおこなう。香港はインドネシアから多くの女性家事労働者の渡航を受け、家事労働者に労働市場を開放している。香港においてインドネシア人女性家事労働者50人程度のインタビュー調査をおこなうによって女性家事労働者の出身階層を明らかにする。さらに出身農村の経済・社会的関係および労働市場について調査をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に計画していた調査は、インドネシア国内においての調査活動に必要なビザの取得が計画当初の想定よりも大幅に遅れたため計画通りに実行されなかった。そのため、平成23年度に旅費として計上した予算および調査資料収集後に必要なデジタル機器および編集用ソフト購入のための予算を計画通りに使用しなかった。平成23年度の未使用分は、不十分であった調査の補充調査をおこなうために繰り越して使用する。平成24年度においては、主要には現地調査に必要な旅費として使用する。さらに、インビュー調査に必要なデジタル機器と編集用のソフトの購入に充てる。ノート型パソコンは、収集した統計資料やインタビュー調査で得た資料を蓄積し分析するために必要である。インタビュー調査のための移動をおこなうために、小型かつ軽量、通信速度の速いノート型パソコンを購入する。デジタルビデオ機器、デジタルカメラおよびICレコーダーは、インタビュー調査の記録のために必要である。編集用デスクトップパソコンと編集ソフトは、収集したデジタル媒体を社会に報告する際に分かりやすいように編集するために必要である。周辺機器および消耗品は、各デジタル機器を使用するにあたって関連機器との接続および保管のために購入する。
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