本研究ではパースの記号理論の文献研究を行ない、記号過程のマルチエージェント・モデルをつくった。指示対象と記号母体を表すエージェントを定義し、後者には指示対象と他の記号母体に対する視野を設定した。記号母体エージェントはランダムに動き回り、視野に指示対象がある場合にシアンかマゼンタに色を変える。色を変えた時点で、どちらの色も指示対象の存在を示すインデックス記号となる。さらに視野に他の記号母体があった場合に、その色に変化する。これによってその色はシンボル記号ともなる。インデックス記号は色の出現確率に比例してその数が一定になるが、シンボル記号は出現確率とは無関係にどちらかの色に収束する現象が見られた。
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