本研究の成果としては、ネッケルのフランス・インド会社再建策(1763~1770)に焦点を当て、レナルの『両インド史』(1770/1774/1780の三版)との関係を明らかにした一連の業績が特筆される。この研究によって、代議制・公論・信用(公債)の三位一体をもとにフランス王国の政治・財政改革を目論んだ第一次財務総長官期のネッケルの基本構想と、王国財政再建のために土地所有者の政治的代表制の設立をいっそうラディカルに求め、フランス王国の身分制の解体を求めた1780年代初頭のディドロの政治思想の急進化が明らかになった。このディドロ晩年の政治思想は、啓蒙から革命への一定の連続性を明かすものである。
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