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2013 年度 実績報告書

受容者の立場の違いに起因する中国美術の多面性と豊穣性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23652016
研究機関愛知大学

研究代表者

木島 史雄  愛知大学, 現代中国学部, 准教授 (50243093)

研究分担者 安松 みゆき  別府大学, 文学部, 教授 (40331095)
藤原 貞朗  茨城大学, 人文学部, 教授 (50324728)
キーワード書 / 東洋的芸術観賞手法 / パレルゴン
研究概要

本年度は、昨年度までに引き続いて欧州における東洋美術の収集・収蔵・研究・記述などについて調査・資料収集を行うとともに、集積された資料をもとに、課題テーマの考究を行った。
期間全体の研究成果として、以下のことが明らかとなった。1.東洋の「書」作品は、欧州刊行の東洋美術紹介・概説書にあまり掲載されず、また欧州にはほとんど収蔵されていない。欧州では東洋書作品は受け入れられていないといえる。2.片や東洋の絵画作品が、無彩色のものでさえ欧州で比較的広汎に受け入れられていることからすれば、色彩性・造形性へ嗜好および理解の東西の相違が、欧州における「書」作品未受容の原因とは考えにくく、その主な原因は、「書」作品自体の文字内容および、作品を取り巻く文字文献とのつながりへの理解不足にあるといえる。現実に「書」作品は欧州では、文様の一種として展示されることが少なくない。3.作品単体でなく背後の文化的背景をも含めて鑑賞することが求められる東洋的観賞手法は、現今の日本人にとっても縁遠いものとなっており、これは欧米人の「書」作品理解の困難さと重なる事態である。4.しかしながら近時、デリダらによって提唱された周縁情報をも含めて芸術作品は理解・受容する必要があるという所謂「パレルゴン」対応型鑑賞法は、東洋の伝統的な鑑賞法に近いものであり、ある意味で、東洋芸術の先進性を物語っている。5.東洋の伝統的芸術としての書および、その鑑賞法は、その豊饒性を内に秘めたまま気づかれないでいる。東西文化の相違或いは時代錯誤的口伝えといったラベル貼りによる、ステレオタイプで曖昧な処理ではなく、書文化をはじめとする東洋芸術の理解手法を明確にし、その豊饒性を社会に訴求する余地と必要がある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 偽物と写しの価値転換2014

    • 著者名/発表者名
      藤原貞朗
    • 雑誌名

      茨城大学人文コミュニケーション学科論集

      巻: 17号

  • [雑誌論文] 大戦間期の日仏会館の東洋学者とフランス極東学院2014

    • 著者名/発表者名
      藤原貞朗
    • 雑誌名

      日仏文化

      巻: 83号 ページ: 121-127

  • [雑誌論文] 美は孤ならず―鑑賞者は「伏生授經圖」をいかに楽しんだか2014

    • 著者名/発表者名
      木島史雄
    • 雑誌名

      文学論叢(愛知大学)

      巻: 149 ページ: 1-35

  • [雑誌論文] 転機としての1935年ロンドン『中国芸術国際展覧会』— 1939年の『伯林日本古美術展覧会』の開催経緯をめぐってー2014

    • 著者名/発表者名
      安松みゆき
    • 雑誌名

      別府大学紀要

      巻: 55 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] 初唐におけるモジュール的思考について : 類書・正義そして楷書2013

    • 著者名/発表者名
      木島史雄
    • 雑誌名

      中国思想史研究 (池田秀三教授退職記念論集)

      巻: 34 ページ: 208-229

  • [学会発表] 大戦間期の日仏会館の東洋学者とフランス極東学院、日仏会館創設に関する新資料の紹介2013

    • 著者名/発表者名
      藤原貞朗
    • 学会等名
      日仏会館創立90周年記念国際シンポジウム
    • 発表場所
      日仏会館
    • 年月日
      20131005-20131006
  • [学会発表] 赤壁は何を以て実在するか2013

    • 著者名/発表者名
      木島史雄
    • 学会等名
      六朝学術学会
    • 発表場所
      愛知大学
    • 年月日
      2013-12-07
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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