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2013 年度 実施状況報告書

古代ギリシアの礼拝像の研究――「古き像」と「新しき像」の神性

研究課題

研究課題/領域番号 23652018
研究機関東北大学

研究代表者

芳賀 京子  東北大学, 文学研究科, 准教授 (80421840)

キーワード美術史 / 西洋古典 / 考古学 / 宗教学
研究概要

本研究はギリシア彫刻の神像を美術品としてではなく、信仰が生きていた多神教世界の古代ギリシア人の目から見た宗教物として考察する。とりわけ、礼拝や儀式の対象となる「礼拝像」と呼ばれる神像に焦点を当て、それを木製の「古き像」と、前6世紀以降に大理石などの素材でつくられた「新しき像」に2分し、古代ギリシアの人々が礼拝像に認めた神性がどのようなものだったのかを明らかにすることを目的とする。
「新しき像」の中でも、特にアテネ近郊ラムヌスのネメシス神殿の礼拝像は、断片的とはいえオリジナルが残る貴重な作例だが、いまだ決定的な解釈がなされていない。そこで平成25年度は、平成23年度から進めて来た調査に基づき、この礼拝像とその台座について新しい解釈を下し、その結果を6月に日本西洋古典学会(東京大学)で口頭発表し、さらに考察を加えて『西洋古典学研究』に論文を執筆、出版した。また他の「古き像」の考察もまじえ、空間史学研究会(東北大学)で発表をおこなった。さらに、クラシック時代のギリシア最大の神像である《ゼウス・オリュンピオス》について一般に向けた講演なども行い、成果を社会に還元するように務めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラムヌスのネメシス像については新しい知見を得ることができ、日本国内での成果発表はすることができたが、まだ国際的に発表するに至っていない。またフェイディアスの《ゼウス・オリュンピオス》などその他のクラシック時代の礼拝像に関しては、国際的な最新の動向も取り入れ、さらなる研究をおこなう必要がある。

今後の研究の推進方策

ラムヌスのネメシス像に関しては、欧文で論文を執筆する。また《ゼウス・オリュンピオス》に関しては、5月にブダペストで開かれる国際シンポジウムに参加し、他の研究者と議論することによって、さらに研究を進める。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に、研究成果の発表・議論のためにシンポジウム開催を計画していたが、古代ギリシアの「新しき像」の核をなすフェイディアスやポリュクレイトスといった巨匠の神像が「古き像」と「新しき像」の転換点として果たした役割を明らかにする必要が生じた。そこで、シンポジウム開催をとりやめ、海外の学会で発表を行ったうえで考察を深めることとしたため、未使用額が発生した。
このため、海外の学会での発表と、フェイディアスおよびポリュクレイトスの神像についての考察を行うこととし、使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] アゴラクリトス作《ラムヌスのネメシス》―台座浮彫の解釈と神像の意味2014

    • 著者名/発表者名
      芳賀京子
    • 雑誌名

      西洋古典学研究

      巻: 62 ページ: 1-12

    • 査読あり
  • [学会発表] アゴラクリトス作《ラムヌスのネメシス》

    • 著者名/発表者名
      芳賀京子
    • 学会等名
      日本西洋古典学会大会
    • 発表場所
      東京大学
  • [学会発表] 古代ギリシアの神像、神域、都市国家

    • 著者名/発表者名
      芳賀京子
    • 学会等名
      空間史学研究会
    • 発表場所
      東北大学

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公開日: 2015-05-28  

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