研究課題/領域番号 |
23652022
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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キーワード | ポン教 / 図像学 / 画像データベース / チベット美術 / 文化資源 / 逸見梅栄 |
研究概要 |
これまでの調査で収集したチベット美術に関する資料の整理と分析をおこない、チベット美術に関する統合的な情報プラットフォームの構築を進めている。その過程で、以下の研究成果の公表を行った。 1. シンポジウム「チベット美術の過去・現在・未来」(平成24年8月25日、石川県立歴史博物館)。このシンポジウムは、チベット美術研究をリードする国内外の研究者が、最新の成果を持ち寄ったもので、わが国で行われる本格的なチベット美術に関する学術シンポジウムとしては、初めてのものである。今後のチベット美術研究に指針を与える重要な機会となったともに、公開シンポジウムの形式をとったことで、一般の参加者も多数含まれ、研究成果の社会への発信の役割も果たした。 2. 『鶴見大学図書館所蔵 逸見梅栄コレクション画像資料 1』の刊行。鶴見大学図書館には、戦前の満洲においてチベット美術研究を行った逸見梅栄による調査資料が多数保管されている。日本国内のチベット美術の歴史的な資料としては、おそらく最重要のコレクションと見なされる。そのうち、今年度はコレクションの中心を占めるガラス乾板による写真資料について、すべての資料のデジタル化を行い、その一部を公表した。このデータは、将来的には、上記の情報プラットフォームに含まれる予定であるが、Web上の電子データに加えて、鮮明な写真とそれぞれのメタデータを紙媒体で公開することが重要であるという判断にもとづき、大判の印刷物として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに進行していることに加え、鶴見大学図書館に所属される逸見梅栄の画像資料について、詳細な調査と分析を行い、その成果の一部を公表できた。また、研究期間のちょうど半ばにあたる時期に、チベット美術に関する国際シンポジウムを開催することができ、研究の方向性や方法を確認するとともに、研究成果の社会への還元を実現させた。
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今後の研究の推進方策 |
鶴見大学図書館所蔵の逸見梅栄コレクションの資料刊行を継続的に行う。また、国内にある別のチベット美術画像資料として、高野山大学のチベット文化研究会が所有している写真資料のデータベース化を進める。これらを、研究代表者がこれまで収集してきた図像資料と統合し、チベット美術の統合的な情報プラットフォームを公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内調査のための経費が予定よりも少なかったため、残金が生じた。今年度、国内旅費(東京大学)として、今年度予算と合わせて執行を予定している。
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