研究課題
1.平成25年度(最終年度)の研究成果最終年度は、これまでの調査のうち、最も進捗した茨木のキリシタン遺物をほぼ網羅する報告集『千提寺・下音羽のキリシタン遺物研究』の出版に専念した。内容は、千提寺のキリシタン遺物発見のきっかけとなった、「上野マリア」銘キリシタン墓碑を扱った章に始まり、千提寺作例のイエズス会とのつながりを示すロレート信仰、フランチェスコ会の銅版画、十字架などの金属製信仰具、銅板画、プラケット(聖像を表した金属製の板)、メダルなどの非破壊調査で得られた結果を論考としてまとめた他、各作例の高精細写真図版をカラーで掲載した。これまで、千提寺・下音羽のキリシタン遺物に関して、これだけまとまった形でカラー図版を使用したカタログは出版されたことがなく、3年間の調査研究の集大成とすることができた。分担研究者は、地中海学会大会で16,17世紀イエズス会布教にともなう日本におけるキリスト教美術の受容と変容について議論し、釜山の学会ではシチリア美術と日本のキリシタン美術との関係について議論した。また、イタリア出張では、ローマのヘルツィアーナ図書館で関連資料を調査した。2.研究期間全体を通じて実施した研究成果調査グループは、上記、千提寺・下音羽のキリシタン遺物に関しては3回調査を行ったが、他に、≪泰西王侯図≫および≪武人図≫(群馬県立歴史博物館蔵)、日本二十六聖人記念館蔵≪雪のサンタマリア≫像、天草キリシタン館の≪陣中旗≫、新発見≪ガラス乾板≫(現歴史民俗博物館蔵)などの精密な調査を勢力的に行った。平成26年6月には文化財保存修復学会で≪陣中旗≫に関する調査結果を発表する。今後は、前記『千提寺・下音羽のキリシタン遺物研究』をさらに進めて刊行する方法を模索するつもりである。研究分担者はトレント公会議後のカトリック美術という文脈から、日本の宣教美術について調査した。
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巻: 2013 CIHA in Naruto ページ: 未定