研究概要 |
平成23年度は、(1)1851年ロンドン万博博覧会「中世部門」に関する言説の収集、(2)1862年ロンドン万博博覧会「日本部門」に関する言説の収集、(3)ジャポニズムが頂点に達した1880~90年代の日本の芸術・文化および日本の近代化に対する英国側の言説の収集に調査研究の重点を置いた。これらの言説は主に、イエール大学イギリス美術センターのフェロウシップを得てVisiting Scholarとして在外研究を行った同センターで収集した。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、ナショナル・アート・ライブラリー、大英図書館等での資料収集は、筑波大学の大学院生2名に依頼した。2名とも貴重な資料の収集・調査を行った。うち1名を、明治期からのラファエル前派に関する日本語文献データベースの入力作業のために雇用し、1980年代までのデータベースが概ね完成した。研究成果としては、招待講演「ラファエル前派の芸術と装飾ーロセッティ、バーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリスを中心にして」(8月7日、鹿児島市立美術館)、口頭発表 "D. G. Rossetti's Medievalism: His Preference for Decorativeness" (9月13日、イエール大学イギリス美術センター)、口頭発表 "Pre-Raphaelite Medievalism and Materialism: D. G. Rossetti, Edward Burne-Jones, and William Morris"(10月4日、イエール大学19世紀芸術・視覚文化研究会)、口頭発表「ラファエル前派のファッションと明治芸術」(12月17日、筑波大学・ファッション文化研究学会)、口頭発表「ローマのカンパーニャとイギリス風景画ーターナーからエトラスカンズへ」(美術史学会東支部例会、1月28日)を行った。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の支払請求書において、24年度分の500,000円と、平成23年度の未使用額260,000円をあわせた、760,000円を直接経費として請求した。平成23年度の未使用額は、購入したコンピュータが見込額より安価で購入できたこと、購入予定であった図書の調査および複写をイエール大学図書館でできたことなどから発生したものである。当初、交付申請書では、平成24年度の直接経費は700,000円として申請したが、平成23年度の未使用額があるので、支払請求書では500,000円として請求し、差額200,000円は、平成25年度に予定している国際シンポジウムの開催費用にあてる。 平成24年度の所要見込額760,000円のうち、物品費(図書費)として230,000円、調査旅費として450,000円、データベース作成のための大学院生雇用費(人件費)として50,000円、その他インク代等として30,000を使用する。 平成25年度の所要見込額は計120,000円となる。そのうち、シンポジウムの講師を招聘する旅費(アメリカ合衆国と連合王国から3名、国内から1名を招聘する予定)850,000円、シンポジウムのための人件費・謝金として150,000円、物品費(図書費)として150,000円、その他インク代・ポスター作成費として50,000円を使用する。
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