中世主義の建築家・デザイナーは、1862年ロンドン万国博覧会展示された日本の装飾芸術をヨーロッパ中世の芸術に重ね、兄弟団の設立メンバーだったD. G. ロセッティも博覧会後に日本の浮世絵や品を収集しはじめた。日本のモノへの熱狂(日本趣味)は1890年代に最高潮に達する。その頃、明治の日本でラファエル前派が熱狂的に受容され、彼らが表した中世的世界が称えられた。この熱狂は、1890年代の日本古来の伝統への回帰を唱える動きと、1900年代の明治浪漫主義と連動し、芸術の分野では日本の伝統的な装飾性の再生が目指された。ラファエル前派芸術と明治芸術を結んだのは、中世主義と装飾への傾倒だった。
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