本研究は「日本のアルツハイマー映画」に着眼し、つぎの2つの成果をあげた。まず、1973年の第1号作品(豊田四郎監督『恍惚の人』)から今日までのアルツハイマー映画において、「アルツハイマー患者と介護者の人物造形」と「彼らを取り巻く社会環境」を検証したこと。これによって、日本のアルツハイマー型認知症の「映像表象史」が構築できた。つぎに、2000年代に入って盛んに制作されている「外国」のアルツハイマー映画をパースペクティヴに入れ 、「 日本」のアルツハイマー表象と比較考察を行い、日本独自のアルツハイマー表象を浮き彫りにすることができた。
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