音楽史の記述において、第二次世界大戦前やその最中に亡命した芸術家たちは、亡命地での活動についてヨーロッパの視点で位置づけられてきた。本研究では、「文化的アイデンティティの再構築」をテーマに、クルト・ヴァイルのアメリカでの活動と伝統との関係性、新しい美学の構築、代表作『三文オペラ』やアメリカ作品の受容を中心に調査した。また、その活動を比較する要素として、ワイマールのキャバレーのアーティストたちの活動、なかでもアメリカのフリードリヒ・ホレンダーやイギリスのミーシャ・シュポリアンスキーの活動。オーストリアでオペレッタ作曲家であったフリッツ・シュピールマンのアメリカでの活動を整理した。
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