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2012 年度 実施状況報告書

ダックとコリアの比較研究に始まる「性」と「経済」から見た「水」表象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23652060
研究機関岐阜大学

研究代表者

中川 一雄  岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10155674)

キーワード英米文学 / 表象文化 / 詩的想像力 / 文化唯物論 / イングランド近代
研究概要

(1) 前年度の農民詩人(ダックやコリアなど)のテクスト収集に加えて、メアリー・リーパーなど18世紀の女性詩人たちのテクスト収集にも努めた。具体的には、英国へ調査収集旅行に出かけ、大英図書館やロンドン大学の図書館を通じて主に電子化されたテクストや関連する評論を収集した。ただ、他の校務運営実施によって旅行期間が1週間あまりしか取れず、また当地のネットワーク障害もあって、予定していたほどはかどらなかったのは残念であった。しかし、コリアが成人後主に生活したピータースバーグを訪れる機会を得、当地(サウスダウンズの端)の地勢も理解でき、彼女の詩行中の「水」表象の理解が進んだことはよかった。
(2) 前年度のレイモンド・ウィリアムズの視点をさらに敷衍し、18世紀の農民詩人たちや女性詩人たちの詩における「肉声」(魂の響き)の現実的意味、つまり文学テクストや「水」に表象された感情・意識を歴史的経済的に把握する作業を進めた。たとえばビールへの言及を考えてみれば、ダックは「野良仕事に持ち込んで休み時間に飲もうと思っても誰かが先に飲んでしまっている」と渇きや疲労の癒しとして水を希求するが、その水-ビールを「夜通し眠らず醸造する」のがコリアなど農婦たちであったことがわかり、労働・生活におけるジェンダー・セクシュアリティがそれぞれのテクストに反映していることが浮き彫りにされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度不足していた1次資料(ダックやコリア、リーパーなどのテクスト)についてはおおむね順調に収集できたと思われる。2次資料の内、経済史や社会史関係の個別の具体的資料(地域ごとの特徴を知らせるデータや論文など)の調査収集が現地へ出かけたにもかかわらず、予想していたほど集められなかった。
前年度に本研究の基本的視点や方法論を確認したため、テクストや資料の読解もおおむね順調に進めることができた。だが、論文として発表する時間的余裕はなかった。

今後の研究の推進方策

他の業務遂行のなかで時間が許せば、不足していた2次資料をさらに収集して本研究の実質的な深みを獲得したい。
18世紀の農民詩人たちの「水」想像力の表象におけるリアリティ(社会的経済的思想性)を構造的に把握し、研究の整理に力を注ぎ、その成果をダック-コリアの比較研究から始まる論文として発表する。
併せて、当時の主流派新古典主義者ポウプなどとは異なる、人間や社会に対する意識や見方などを表すテクスト集も編んでみるつもりである。

次年度の研究費の使用計画

設備備品費:約40万円
国内・国外旅費:約30万円
資料整理・消耗品など:約5万円

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公開日: 2014-07-24  

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