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2012 年度 実績報告書

等級的基準作製の観点から見た日本所在中国古籍鑑定研究

研究課題

研究課題/領域番号 23652076
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

高橋 智  慶應義塾大学, 斯道文庫, 教授 (80216720)

キーワード漢籍等級基準
研究概要

本年度は、前年度に引き続き、日本に漢字文化の基礎として輸入され保存講読されてきた宋時代以前の写本、宋元明清の貴重な印刷本について、その価値基準を国際的標準に合わせるため、中国で進行されている「古典籍を等級によって価値分類する国家プロジェクト」を検討し、その基準内容の分析と日本に於ける適用の問題点などを明確にすることに重点を置いた。
そこで、このことについてのシンポジウムを開催した。中国国家図書館古籍館副館長・陳紅彦氏に「中国古籍保護と普査事業の現状」をお話いただき、中国全国において古籍調査がどのくらい進んでいるか、その等級設定をどの程度各館で応用できているか、等の現状を把握した。所謂重要文化財に相当するものはほぼそのランク付けを終えて、今は一般古典籍のランク付けに集中しているということである。普査とは悉皆調査の意味で、文字通りこの中国のプロジェクトも終盤にきているようである。そして、具体的な等級設定の問題点について、中国国家図書館の李際寧氏には「中国古代写本の真偽と等級」と題して、敦煌写本の専門家である李氏に等級設定に際して、真偽の問題が大きな壁になるというお話をいただいた。しかし、その真偽もどのように等級に組み入れていくか、実例を多く挙げて解決の方法を提示してくださった。中国国家図書館が主導して、残本や重刊重写などの複雑な伝本をどのように統一的に価値ランクを定めるかがよく理解された。
そして、この分野で最も中国と連携を深めている京都大学人文科学研究所の高田時雄先生に両先生の発表を踏まえ、中国の価値基準と輸入国である日本の場合との分別とむしろ日本の独自性を生かした等級のあり方をご指摘いただき、今後中国国家図書館と緊密に連絡をとりながら、日本に於ける漢籍等級制度を確立していく方向性を見定めることができた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 京師図書館善本簡明書目・稿本についてー中国版本学研究資料ー2013

    • 著者名/発表者名
      高橋 智
    • 雑誌名

      斯道文庫論集

      巻: 第47輯 ページ: 1~87

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公開日: 2014-07-24  

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