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2011 年度 実施状況報告書

1920~30年代の日本および東アジアのメディア言説における異常概念の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23652078
研究機関金城学院大学

研究代表者

小松 史生子  金城学院大学, 文学部, 准教授 (60350948)

研究分担者 坪井 秀人  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90197757)
古川 裕佳  都留文科大学, 文学部, 准教授 (80405076)
山口 俊雄  愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (80315861)
一柳 廣孝  横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40247739)
小泉 晋一  共栄大学, 教育学部, 准教授 (80296376)
光石 亜由美  奈良大学, 文学部, 准教授 (90387887)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際情報交流 / 台湾 / 韓国
研究概要

本年は東日本大震災の影響で、規模の大きい公開研究会を開催することはできなかったが、その分、研究例会を増やし、名古屋と東京の会場で東西の研究者が集う機会を得た。未曾有の大災害の中にあって、本研究の課題である「異常概念の析出」が、期せずして世相とリンクし、原発事故による差別/被差別の社会構造を冷静に見つめる機会になったのは、感慨深い。研究代表者および研究代表者の中には、東北の被災地を訪れ、その被害の甚大さと当地に飛び交う流言に実地に接した者もおり、今後の本研究グループの活動における一つの視座を得たと思われる。一次資料の収集として、研究分担者が単行本、論文を各自刊行したのは大きな成果であった。研究分担者である坪井秀人が『性が語る』(名古屋大学出版会 2012年2月)を刊行。ライフワークで調査してきた20世紀日本文学の性と身体に関する論文を一書にまとめた。これは、日本近代文学の言説が、如何に性にまつわる問題を語ってきたかを幾多の文学テクストに依拠して緻密に論じたもので、幅広い知識でもって20世紀の性言説を分析した。研究例会では、この著作が持つ本研究会への刺激について報告がなされた。また、研究協力者である橋本明が『精神病者と私宅監置』(六花出版 2011年12月)を刊行。近代日本の精神医療史についての基礎的研究を公にし、従来看過されがちであった私宅監置の各地方毎の傾向を統計化してみせたので、研究例会ではこの著書の読書会を行い、本研究の目的である文学/文化/医学の3分野にまたがる言説構造の様相を議論しあった。以上のように、大きな成果が本研究のディスカッションを活気づけ、一次資料の購入も進んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究例会を名古屋で3回、東京で1回行えた。震災の最中で、上半期は多忙を極め、実質的に下半期に研究の進行が行われたにもかかわらず、例会の開催頻度は高かったと思われる。学術雑誌および紀要に掲載された論文は3本。単行本刊行は1冊。研究協力者による学会発表も1本あった。雑誌「人性」という一次資料の一括購入も果たせ、明治期の啓蒙医学誌における異常概念の定義の析出を行っている。以上の成果に基づき、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

海外の研究者との連携を深め、国際的な論議のできる研究公開シンポジウムを開催する予定である。また、23年度は外部の講演者を招聘して開く研究会を実施できなかったので、本年はその開催を予定する。一次資料の言説データを引き続きまとめる作業を行う。新たな一次資料の購入を計画し、速やかに購入する。学術雑誌への積極的な投稿、および学会発表の機会を利用して、広く本研究会の成果を世に問う。単行本を刊行予定の研究分担者および研究協力者へのサポートを充分に行う。

次年度の研究費の使用計画

・公開シンポジウムの会場費、招聘研究者への謝金、研究例会の会場費・一次資料の購入費および研究書の購入費・遠方からの研究者への旅費・資料コピー代金と消耗品の購入

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 明治の熊本と催眠術2011

    • 著者名/発表者名
      一柳廣孝
    • 雑誌名

      熊々論々

      巻: 1巻 ページ: 42-49

  • [雑誌論文] 大正期の<精神病院>文学2011

    • 著者名/発表者名
      光石亜由美
    • 雑誌名

      文学批評敍説

      巻: III-7 ページ: 13-29

  • [雑誌論文] 志賀直哉「憶ひ出した事」――相馬事件の〈記憶〉と思い出されなかったこと2011

    • 著者名/発表者名
      古川裕佳
    • 雑誌名

      文科の継承と展開

      巻: 1 ページ: 285-306

  • [図書] 性が語る 二○世紀日本文学の性と身体2012

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 総ページ数
      682
    • 出版者
      名古屋大学出版会

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公開日: 2013-07-10  

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