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2012 年度 実施状況報告書

1920~30年代の日本および東アジアのメディア言説における異常概念の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23652078
研究機関金城学院大学

研究代表者

小松 史生子  金城学院大学, 文学部, 准教授 (60350948)

研究分担者 坪井 秀人  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90197757)
古川 裕佳  都留文科大学, 文学部, 准教授 (80405076)
山口 俊雄  日本女子大学, 文学部, 教授 (80315861)
一柳 廣孝  横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40247739)
小泉 晋一  共栄大学, 教育学部, 准教授 (80296376)
光石 亜由美  奈良大学, 文学部, 准教授 (90387887)
キーワード国際研究者交流 / 国際情報交換
研究概要

当該年度は、外部から研究会の趣旨と非常に深い関係を持つ領域の専門家を招き、大きなシンポジウムを二回行うことができた。
第一回目は、日本近代文学における異常心理の記号的活用について谷崎潤一郎の具体的なテクストを読み解く挑戦と同時に、現在進行形で行われている受刑者に対するメンタルテストの言説内容についての報告を受けるものであった。
第三回目は、臨床心理学の領域で「うつ」病について比較文化学の視点で研究している専門家を招き、また研究会外の若い大学院生達に広く呼びかけ、早稲田大学において公開シンポジウムを開催した。
両シンポジウムとも、研究会内部にとどまらない、幅広い人脈と研究領域との接触を持つことで、研究会の目指す実社会に解放された異常心理言説の分析と確認に非常に役立った。
以上のシンポジウムは東京で開催したが、平常の研究例会を4回名古屋で行った。東京方面からの熱心な研究協力者の参加、および国外(台湾)からの研究協力者の出席もあり、当該年度の例会は読書会を中心に話題が広がり有意義であった。特に、ここ数年、多々敢行されている若手の心理学者および社会学者の単行本を集中的に読み込むことで、現在、医療の現場で何が問題とされているのか、アカデミズムの分野とのギャップはあるのか否かといった、生産的なディスカッションが活発に行えた。
また、研究分担者はそれぞれ、パソコン機器およびソフトウェアを新調し、データ収集を精力的に行い、その結果、優れた論文を何本か執筆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的である、異常心理言説データの随時公開については、シンポジウムを通して広く周知できていると思われる。このシンポジウム開催をもとに、研究報告書をまとめることで研究目的はほぼ達成できる見通しである。
特に、東京開催のシンポジウムに関しては、研究会の知名度が昨年度よりも上昇し、研究会外部から若い大学院生の方々の関心が多く寄せられるようになったことが特筆に値する。関心を寄せてくださる若い大学院生達は、文学研究、社会学研究、文化研究、臨床心理研究の各分野に幅広くまたがっており、今後の研究会の方針に有益な意見を多く寄せていただいている。
一方で、研究分担者達の研究も領域を広げ、成果発表の場も多岐に渡るようになってきた。研究例会のみで発表を終わらせるのではなく、多方面の研究会および学会にて成果を公示することで、緊張感とコミュニケーションの幅を維持できていると思われる。

今後の研究の推進方策

研究報告書作成をめざして、研究分担者を中心に各自論文の準備を始める。
また、科研費報告書とは別に、今後は今までの研究会での蓄積された考察をもとに、国際学会での報告をも視野に入れて論文を作成する作業を開始する。
さらに、公開シンポジウムを、もうあと2回ほど開催していく。平成24年度は心理学のシンポジウムが主だったので、平成25年度は文学と社会学方面の専門家を招いてパネラーの顔ぶれをまた新たにする。

次年度の研究費の使用計画

○公開シンポジウムに招く研究会外部の専門家への謝金
○公開シンポジウムに参加する研究協力者への旅費
○研究例会で発表をお願いする研究会協力者への旅費
○科研費報告書作成のための印刷製本代金

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 石川淳「マルスの歌」再論―冬子・帯子姉妹の共通性と対照性2013

    • 著者名/発表者名
      山口俊雄
    • 雑誌名

      目白国文

      巻: 52号 ページ: 34-40

  • [雑誌論文] 石川淳「至福千年」論―〈憑依〉の論理学・〈憑依〉の政治学2013

    • 著者名/発表者名
      山口俊雄
    • 雑誌名

      日本女子大学紀要文学部

      巻: 62号 ページ: 21-49

  • [雑誌論文] 日記、プライベート/パブリックの境界にある「ゆらぎ」へ2013

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 雑誌名

      恵比寿映像祭パブリック ダイアリー

      巻: 5号 ページ: 12-29

  • [雑誌論文] レヴュー 無償であることの幸福──「生誕120年記念 田中恭吉展2013

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 雑誌名

      JunCture(超域的日本文化研究)

      巻: 4号 ページ: 174-176

  • [雑誌論文] 都市を駆ける人獣 ~『怪の物』、『悪魔の舌、そして『人間豹』への系譜~2012

    • 著者名/発表者名
      小松史生子
    • 雑誌名

      金城学院大学論集

      巻: 9巻1号 ページ: 180-194

  • [雑誌論文] 消尽の果ての未来あるいは襞としてのエクリチュール -三・一一以後の原爆文学と原発表象をめぐる理論的覚書-2012

    • 著者名/発表者名
      柳瀬善治
    • 雑誌名

      原爆文学研究

      巻: 11号 ページ: 47-64

  • [雑誌論文] 種の論理・力学的空間・未来への象形文字 ー田辺哲学から横光利一へー2012

    • 著者名/発表者名
      柳瀬善治
    • 雑誌名

      近代文学試論

      巻: 50号 ページ: 215-226

  • [雑誌論文] 「精神分析」という物語 ― 近代日本における文学場との関係を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      一柳廣孝
    • 雑誌名

      文学

      巻: 13巻6号 ページ: 59-70

  • [雑誌論文] 湯煙の向こうに怪異は潜む ― 島尾敏雄「冬の宿り」から2012

    • 著者名/発表者名
      一柳廣孝
    • 雑誌名

      横浜国大国語研究

      巻: 31号 ページ: 1-13

  • [学会発表] 怪異を再編する ― 明治後期の文壇における怪談ブームをめぐって

    • 著者名/発表者名
      一柳廣孝
    • 学会等名
      日本近代文学会関西支部
    • 発表場所
      大阪樟蔭女子大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 戦争の記憶/記憶の戦争 ──アジア太平洋戦争と詩の問題

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 学会等名
      東国大学校招聘講演会
    • 発表場所
      東国大学校(ソウル)
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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