研究課題/領域番号 |
23652078
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
小松 史生子 金城学院大学, 文学部, 准教授 (60350948)
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研究分担者 |
坪井 秀人 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90197757)
古川 裕佳 都留文科大学, 文学部, 准教授 (80405076)
山口 俊雄 日本女子大学, 文学部, 教授 (80315861)
一柳 廣孝 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40247739)
小泉 晋一 共栄大学, 教育学部, 准教授 (80296376)
光石 亜由美 奈良大学, 文学部, 准教授 (90387887)
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究概要 |
当該年度は、外部から研究会の趣旨と非常に深い関係を持つ領域の専門家を招き、大きなシンポジウムを二回行うことができた。 第一回目は、日本近代文学における異常心理の記号的活用について谷崎潤一郎の具体的なテクストを読み解く挑戦と同時に、現在進行形で行われている受刑者に対するメンタルテストの言説内容についての報告を受けるものであった。 第三回目は、臨床心理学の領域で「うつ」病について比較文化学の視点で研究している専門家を招き、また研究会外の若い大学院生達に広く呼びかけ、早稲田大学において公開シンポジウムを開催した。 両シンポジウムとも、研究会内部にとどまらない、幅広い人脈と研究領域との接触を持つことで、研究会の目指す実社会に解放された異常心理言説の分析と確認に非常に役立った。 以上のシンポジウムは東京で開催したが、平常の研究例会を4回名古屋で行った。東京方面からの熱心な研究協力者の参加、および国外(台湾)からの研究協力者の出席もあり、当該年度の例会は読書会を中心に話題が広がり有意義であった。特に、ここ数年、多々敢行されている若手の心理学者および社会学者の単行本を集中的に読み込むことで、現在、医療の現場で何が問題とされているのか、アカデミズムの分野とのギャップはあるのか否かといった、生産的なディスカッションが活発に行えた。 また、研究分担者はそれぞれ、パソコン機器およびソフトウェアを新調し、データ収集を精力的に行い、その結果、優れた論文を何本か執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である、異常心理言説データの随時公開については、シンポジウムを通して広く周知できていると思われる。このシンポジウム開催をもとに、研究報告書をまとめることで研究目的はほぼ達成できる見通しである。 特に、東京開催のシンポジウムに関しては、研究会の知名度が昨年度よりも上昇し、研究会外部から若い大学院生の方々の関心が多く寄せられるようになったことが特筆に値する。関心を寄せてくださる若い大学院生達は、文学研究、社会学研究、文化研究、臨床心理研究の各分野に幅広くまたがっており、今後の研究会の方針に有益な意見を多く寄せていただいている。 一方で、研究分担者達の研究も領域を広げ、成果発表の場も多岐に渡るようになってきた。研究例会のみで発表を終わらせるのではなく、多方面の研究会および学会にて成果を公示することで、緊張感とコミュニケーションの幅を維持できていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究報告書作成をめざして、研究分担者を中心に各自論文の準備を始める。 また、科研費報告書とは別に、今後は今までの研究会での蓄積された考察をもとに、国際学会での報告をも視野に入れて論文を作成する作業を開始する。 さらに、公開シンポジウムを、もうあと2回ほど開催していく。平成24年度は心理学のシンポジウムが主だったので、平成25年度は文学と社会学方面の専門家を招いてパネラーの顔ぶれをまた新たにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
○公開シンポジウムに招く研究会外部の専門家への謝金 ○公開シンポジウムに参加する研究協力者への旅費 ○研究例会で発表をお願いする研究会協力者への旅費 ○科研費報告書作成のための印刷製本代金
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